かたたがえ

2023.12.8 5年ぶりの石切さん ―石切劔箭神社―

2023年12月8日、なんと5年ぶり、東大阪市の石切劔箭神社(いしきりつるぎやじんじゃ)へお参りしました。
参道は占いのお店がいっぱい。その一軒の看板猫ちゃん。「一枚撮らせて」と頼みますと、じっと固まってくれました。

今日はたまたま、御祈禱札のお焚き上げの日でした。12月とも思えぬ、陽光。

石切さんの御神木、大楠。樹高15メートル、樹齢470年、河内に楠はよく似合う。南北朝時代、ここらへん、楠木正成の庭でした。
いま、私と息子が夢中で読んでいる漫画『逃げ上手の若君』は、北条高時の遺児の北条時行が主人公。魅力の塊の怪物めいた足利尊氏と、飄々と乱世を俯瞰する楠木正成が、1991年の大河ドラマ『太平記』の真田広之さんと武田鉄矢さんに風貌が似通って、ぞくぞくするほど面白いのです。
残念ながら、先日『逃げ若』で楠木正成は敗死しましたが、氷の矢のような北畠顕家が一世を風靡して登場しました。
中先代北条時行の行く果ては、わかってはいるのですが、それでも目が離せない歴史絵巻です。よくぞここまで史実に肉薄した、素晴らしい解釈の漫画です。

石切さんは、でんぼ(腫れ物)の神様で、がんなど重篤な病気の平癒に御利益があるといわれています。この御神木のもと、いつもたくさんの方々がお百度参りされています。
がん闘病ブログを何件か拝読したことがあります。皆さんほんとうに最後まで弱音を吐かれず、心から感服しました。どなたも最後の最後まで、明るく、前向きで、腹が座っておいででした。
本気で生死を見つめれば、どなたも毅然とされて当然なのかもしれません。

精進落としは、大和屋さん。こちら、石切さんの門前町で有名なお店です。

名物よもぎうどんセット。先に食べてしまいましたが、おでんがついています。食後にコーヒーまでついてきます。
おでんに、天婦羅うどんに、かやくごはんに、お稲荷さんに、草餅。
どれもおいしいのですが、怒涛の炭水化物で、おまけに量も多く、「親子丼にしとけば良かった」と私、後悔しました。ここの親子丼、めっちゃおいしいのです。

女将さんとご年配の男性が、お店の入り口で大きな声で話をされていました。
「わし免許の更新に行ったんやけど、落とされたんや」
「なんでまた」
「更新行った日の、日にちと曜日、まちごうて書いたんや。そんなんで落とすんかい、殺生やがな」
女将さん、無言。私たちも、無言。

お店を出てから、大笑いしました。大阪府警の交通課はきちんと仕事しているな、と安心しながら。

石切さんのもう一つの面、庶民の日常を支える懐の深さ。
私も笑って、すっかり元気になりました。