ならだより

2025.11.7 夜光の杯を求めて ―第77回正倉院展ふたたび―

2025年11月7日、17時30分予約で息子と第77回正倉院展へ。私は今期2回目の観覧。是非とも息子に瑠璃杯を観てもらいたくて。

息子も蘭奢待と瑠璃杯には目を見開き、「来て良かった!」と大絶賛。

なら仏像館でも、金峯山寺の阿吽の仁王像を写真撮影、息子、大興奮。

見落としていた、この金の鈴。白洲正子氏の愛用品の推古朝の鈴に似ている。それよりも、昨年京都での「大シルクロード展」で観た、敦煌出土の金の鈴、蝉の意匠の、あれに似ている。

この鈴の意匠は蓮弁とのこと、しかし、形は蝉のほうが近いような。

東大寺金堂鎮壇具の銀製鍍金の蝉の錠前を主題に取り上げた、私の卒業論文。奈良博の仏像館、まさかのこんな身近で資料が増えたから、もっともっと書き足せる、学術論文として。

残り少ない人生を捧げる、課題ができた。

葡萄美酒夜光杯
欲飮琵琶馬上催
醉臥沙場君莫笑
古來征戰幾人囘

葡萄の美酒 夜光の杯
飲まんと欲すれば 琵琶馬上に催す
酔うて沙場に臥すとも 君笑うこと莫かれ
古来征戦 幾人か回(かえ)る

王翰「涼州詞」

夜光の杯として、月明かりのもとで眺めていたのかもしれない、聖武天皇は、サーサーン朝ペルシア帝国から齎された瑠璃杯を。

息子は受験生、私が何も言わずとも自主的に塾に通い詰めている。

ありがとう息子、模擬試験を控えているのに時間を割いてくれた、正倉院展のために。

あともう少しだけ、ママとデートしてね。可愛くて聡明な彼女ができた君へ、母からの頼み。

次に出展される瑠璃杯、息子が私とは観れなくても、案じることはなくなった。

新色のベージュの花鹿のカップを買っていたのですが、定番のネイビーも欲しくなったので買い足しました。

息子とお揃いで使おうかと。