波斯へ

2023.5.7 逃れたまえ、きよらかな東方で族長の気を味わうため。 ―公開講座「漫画家・高橋由佳利が語る『トルコで私も考えた』」―

『トルコで私も考えた』、高橋由佳利先生のトルコ一代記のエッセイ漫画、略して『トル考(こう)』は、雑誌連載が始まった1992年からずっと欠かさず読み続けてきました。
高橋先生自体、私は小学生からずっと『りぼん』で読み続けてきた作家さん。おしゃれなのに気取りがなくて、抜け感のある作風が大好きでした。村下孝蔵さんの名曲『初恋』を知ったのも、高橋先生の作品『王様たちのカフェテラス』で、でした。

思えば、私がオリエントに日常から触れたのは、この『トル考』からだったと思います。
トルコのお隣のイラン、そのお隣のアフガンのバクトリア、ウズベクとタジクのソグディアナ、ご縁があったとしか思えない。
イランの西北の都市タブリーズでは、トルコ語を話すのです。

極東の日本には、近東は西の彼方。
しかし西欧には近東は、まさに東。

ゲーテは謳いました、光あふれる東へのexodusを。

Hegire.
Nord und West und Süd zersplittern,
Throne bersten, Reiche zittern,
Flüchte du, im reinen Osten
Patriarchenluft zu kosten,
Unter Lieben, Trinken, Singen
Soll dich Chisers Quell verjüngen.

遁走
北も西も南も裂ける、
玉座は砕け、国々は震える、
逃れたまえ、きよらかな東方で
族長の気を味わうため、
愛し、飲み、歌い、
キーゼルの泉で若返るのだ。

Johann Wolfgang Goethe “West-östlicher Divan” 
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ『西東詩集』

で、2023年5月7日、『新・トルコで私も考えた2023巣立ち編』発刊記念、よみうりカルチャー大手町の公開講座「漫画家・高橋由佳利が語る『トルコで私も考えた』」にWeb参加。
13時から14時30分までたっぷり90分間、とーっても楽しい公開講座でした。

高橋先生のご講演内容は開示しませんが、質問コーナーで私のチャットからの質問がトップバッターで選ばれたことは、ちょっとここにメモしておきます。

オンライン参加ならではの着眼点、且つ、高橋先生「よくぞ訊いてくださった!」との的を射た内容で、選ばれたようです。
選ばれた私、もちろんびっくり。
でも、嬉しかった、小学生のころから愛読してきた漫画家の先生とコンタクトが取れ、同じ場の空気を味わえたのが。

講座の感想は、すべてはご縁、ということ。あと、トルコはそこに住まう人々がごちそう。それはイランも同じく人々がごちそうとの、いつか聞き得た事実も谺(こだま)しました。

トルコとイランは地続きです。
私にはどちらも遠いけれど、近いのです。

私のWeb環境は、こ・た・つ。
飲食も勉強も仕事も炬燵でします。
夏には炬燵布団はしまいますが、年がら年中、炬燵で生活です。もう、死ぬまで炬燵。

トルコにもイランにも炬燵があります。どちらも私向きのお国です。