波斯へ

髑髏杯

奈良大学通信教育部の専門科目の各論で、1年生から解放されている唯一の科目がシルクロード学です。
それが奈良で歴史を学ぶ、基礎の基礎だから、ではないでしょうか。

シルクロード、西域(私は「さいいき」と読みます)の文明史。
匈奴と月氏についてなんて、ユーラシア全域に渡るほどのバックボーンをひしひしと感じます。
遊牧を同じくするこの2つの国が、特に匈奴の月氏への苛烈さが、「なぜ?」と私を惹きこんで、匈奴=テュルク系、月氏=イラン系と、異民族への皮膚感覚での憎悪なのか? など、妄想がやみません。

匈奴は斃した月氏王の頭蓋骨で酒杯をつくりましたが、それは重要な式典などに用いられたことから、けっして冒涜一つの行いではないと思われます。
髑髏杯の風習はスキタイ人からとも。
スキタイ! 騎馬遊牧民の軸かもしれない民族。

髑髏杯にされた月氏王、その残党は大月氏としてもとバクトリアであった大夏(トカラ、トハリスタン)を服従させます。
かの有名な張騫が謁見した大月氏の王は、遊牧国家にはめずらしい、女の王でした。

『史記』では、髑髏杯にされた王の「娘」。
『漢書』では、髑髏杯にされた王の「妻」。

はたしてはたして。
大月氏の女王は私のこれからの壮大な研究テーマとなりました。

ちなみに、『髑髏杯』という題名の幻想譚を私の智識の源、澁澤龍彦氏がものしております。
澁澤さんの世界観をドラコニアとも呼び。
私の十代は、ドラコニア一色でした。

吉川弘文館の『世界史年表・地図』。
このClassicな表記が好きなのです。