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笛でも吹きたい気分

©O-DAN

あれほど夜空を軽快に走ったことはない

笛でも吹きたいくらいだった

山岸凉子『日出処の天子』

奈良大学通信教育部、卒業論文の草稿を提出し終えた瞬間、まさに解放区に移った心地。
我が意のおもむくまま上弦の月夜を駆けぬけた厩戸王子さながら、歌って踊って、笛でも吹きたい気分。

卒業された先輩がたからお伺いしました。奈良大学通信において、卒業論文計画書は例年150名から200名ほど提出されるそうです。しかし、それから半年後に実際に卒業論文草稿を提出されるのは、なんと、その半数。

奈良大学通信教育部は、卒業論文を書かないと、絶対に卒業できません。

さて、先輩がたからは前向きな情報もいただきました。
草稿を提出した人で、本稿の提出を不許可になった人は、ほぼ聞いたことがない、と。
たとえしっちゃかめっちゃかでも12000字から20000字にもおよぶ文字数の論文を書いた事実を、無下にされることはないということかな、と。

私の草稿は、あまりにも妄想が勝った箇所を削っていくと、スッカスカなものになってしまいました。
しかし論拠を示せない叙述では論文にならない。
もはや本稿の提出が不許可になっても構わない、そう腹をくくって提出したのです。

負けたっていい、自分には勝ったのだから。

2017年から足掛け8年間、いや、論題に出会ったのは2013年なので足掛け12年間も私を誘惑し続けた悪魔から、やっと、やっと、解放された気分。
悪魔とはいえ、それは清澄で清浄とした悪魔、なんとも爽やかな誘惑者ではありましたが。

とにかく私は逃げなかった、それだけで自画自賛。