
夏至の今日、思い出した映画は、『彼のオートバイ、彼女の島』。私が12歳のときに封切られた、懐かしい80年代の青春映画。
私はものごころついたころからずっと、真面目な優等生グループの本流ではないけれど、その支流のはずれの遊軍には、属していたと思います。だから、バイク乗り則ち不良、つまり私には無縁の界隈との認識は、今もなお崩れていません。
けれど、若く美しい男女と風を切って走るオートバイと瀬戸内の郷愁そのものの島を描く、この映画には、惹かれずにはいられないのです。
分かれ道ごとに分かれて走り、先に着いた者が待ち合わせ場所で待つ。「そこで待ってる」、男の自負に対し、「わたしが待ってる」、そう女は言い放つ。
まさにBoy Meets Girlと。
物語とは、突き詰めるにそれしかないのだと。

量や質や筋書きより、この映画がほぼデビュー作の竹内力さんと原田貴和子さん、ふたりの美男美女の主人公の瑞々しい魅力ひとつ、うっとりと味わわせていただく作品で、とくに、ヒロインのミーヨを演じる原田貴和子さんが、とてつもなくきれいで、健康で清潔な色気に満ち溢れ、それでいて夢のように儚げで、あこがれにあこがれたものでした。

原田貴和子さん、妹さんの原田知世さんより美しいひとだったと思いますが、まるで瑕のない真珠のようなひとだったので、それがもしかしたら薄汚れた芸能界で大成できなかった理由なのかもしれません。
それでも、少女のころにあこがれ目指していた、きらめくように美しい女性のことを思い出すのは、今日この日、光さんざめく夏至の日にこそふさわしく、まばゆく目を閉じ、12歳の夏の入り口の日を、夢見るだけ見ている次第なのです。

𝘒𝘪𝘸𝘢𝘬𝘰 𝘏𝘢𝘳𝘢𝘥𝘢 - 彼のオートバイ彼女の島