かたたがえ

2018.5.26~27 みけつくに志摩の旅

2018年5月26日から27日にかけて、慰安旅行に三重県は志摩へ向かいました。

御食国(みけつくに)は、日本古代から平安時代まで、贄(にえ)の貢進国、すなわち皇室・朝廷に海水産物を中心とした御食料(穀類以外の副食物)を貢いだと推定される国を指す言葉。

律令制のもと租・庸・調の税が各国に課せられたが、これとは別に贄の納付が定められていたと考えられる。『万葉集』にある郷土礼讃の歌に散見され、『延喜式』の贄の貢進国の記述、平城京跡から出土した木簡の記述などから、若狭国・志摩国・淡路国などへの該当が推定されている。

御食国 Wikipedia

この車両は、近鉄特急の伊勢志摩ライナーです。大阪の鶴橋から鳥羽まではビスタカーで、鳥羽から乗り換えて賢島まで伊勢志摩ライナーということ。
しかし、鳥羽での乗り換え時に座席を間違えて、車掌さんに指定座席まで戻りますと言うと、「もう賢島までノンストップですので、座席もほとんど空いていますし、5号車のサロンカーでいいですよ」と。
これ、いちばんいい車両なのです、5号車は! 
幸先の良い旅となりました。

賢島駅から英虞湾まで歩いて5分ほど。潮の香り、海だ海だ! 私は四方を山に囲まれた奈良県民、潮の香りに敏感です。いい香りですね、海洋民族の名残です。

宿泊先のチェックインまで時間があり、私を含めた同僚3人は、腹ごしらえに英虞湾に面した「賢島ファミリーホテルはな屋」の「和食堂あじさい」に入りました。
ここ、ホテルというより旅館、私はこういう懐かしい宿が大好き。自腹で志摩に泊まるなら、ここにしたいな。給仕の女性もてきぱきと健康そうで、波で洗われたように清潔な美しい方でした。

烏賊や鮪や刺身や煮つけ、あれこれメニューを迷った挙句、私たち3人とも鯛つくり定食1500円に。花が咲いたようにきれいな鯛! ほんっとうに、おいしかった! ここの魚介料理は新鮮かつリーズナブルで、あー、幸せ、来て良かったと全員一致。

賢島エスパーニャクルーズ。帆船型遊覧船「エスペランサ」で英虞湾を約1時間かけて遊覧します。観光まるだしで、それが楽しい。

26日は曇りで、暑くはなくて幸いでした。入り組んだ英虞湾は波が入らないので、鏡のように凪いだおとなしい海です。

真珠養殖の筏です。晴れていたらな~と、ここではさすがに思いました。

真珠モデル工場に寄港しました。許された滞在時間、わずか10分。

養殖真珠の核入れ作業の実演を見学。見学、それ自体がすでに非日常。

赤いところが核入れされた箇所です。これも「手術」と呼ぶのですねえ。

午後、伊勢志摩初の真珠店の松井真珠店で買い物を楽しんだ我々を、なんと白いトヨタアルファードで迎えに来てくれたのは、志摩観光ホテルです。
私たちの宿泊先は新館のベイスイート。館内に足を踏み入れた瞬間、海をほうふつとさせる花の香り、ベイスイートを意識したアロマだそうです。とーっても良い香り!

ベイスイートのラウンジから本館のクラシックと旧館のザ・クラブを眺めて。

ラウンジの飲食は深夜以外可能です。昼はアフタヌーンティーのメニュー、夜はお酒に合うメニューとなります。すべて宿泊費込です。
私は、ホテルオリジナルブレンドのハーブティーばかり飲んでいました。ほんのり甘いのですが、くどくなく、もちろん苦みはなく、絶妙な味なのです。
お菓子はどれも上品な味で、特にパート・ド・ヴェール「硝子の練粉」との美しい名前に劣らず美しいゼリー菓子が、すばらしくおいしかった! ラウンジのパート・ド・ヴェールは、グレープフルーツでした。

ロビーから披ける観賞用のプール。ラウンジからはこんなかんじ。景観に溶け込んだホテルですね。

2年前のちょうどこの2016年5月26日、ここで伊勢志摩サミットが開催されました。エポックな巡り合わせだと思いました。

この屋上ガーデンのアプローチを辿っていくと。

G7の足跡が。
オバマ氏の足は大きく、メルケル氏の足は私より小さかったです。安倍さんの足は、普通サイズかな。

このホテルの区域内はほんとうに迎賓にふさわしい場所です。すがすがしく、風通しがよく、なんといっても健やかな印象です。

客室です。玄関から真正面に英虞湾を望むバスルーム。アメニティはクラランスでした。

リビング。固すぎず柔らかすぎない低反発のソファ。神経を刺激するようなものはまったく見当たりません。

リビングの背後にベッドルーム。寝具とガウンがとても着心地良く、その姿で大浴場までは出歩いても叱られません。

ベイスイートに宿泊中の私たちは、志摩観光ホテル区域内はどこでも出入り自由です。
夕暮れ時、本館クラシックのラウンジへ。ここもとっても落ち着きます。ここでのパート・ド・ヴェールはフランボワーズ、木苺でした。館内に漂う香りは、オレンジをベースにした柑橘系でした。

本館クラシックからの英虞湾の眺め。ベイスイートとはちがった風情があります。

本館クラシックからベイスイートを望みます。赤い建物が旧館のザ・クラブ。

旧館ザ・クラブの正面。ここは今は宿泊施設ではなく、レストランとサミットの展示場となっています。

乳白色の壁に飴色の梁。洋館ですが、和のおもむき。繊細で、上品です。旧館ザ・クラブに漂う香りは松や杉、樹木系でした。

ここでサミットのランチョンが催された。もはや歴史の一齣、夢の跡。

3つの志摩観光ホテル。まるでエリック・サティのピアノ曲の題名みたいです。海と果実と樹木と、3つの香りが私の脳に直接ふれました。志摩の三姉妹、いや、三女神の風格。

志摩観光ホテルといえば、お料理。ディナーはフレンチレストランの「ラ・メール」へ。
伊勢海老のクリームスープ。志摩観光ホテルといえば、これ。ですが、これはベイスイートオリジナル。おいしかった!

メインにチョイスした伊勢海老。なんてご立派ないでたち! 触角に、心臓を射抜かれました。

2018年5月26日は伊勢志摩サミット2周年。特別に、サミットで提供されたものとまったく同じデザートがふるまわれました。オレンジとチョコレート、Rising Sun「日出づる国」でしょうか、このデザートがいちばん気に入りました、この晩餐では。
今日だからこそ食べられたデザート、つくづくなんてラッキーな旅なのか。

食後にはミルクティーとお菓子。ここでのパート・ド・ヴェールはマンゴー、絶品でした。

翌日、「和食浜木綿」にて朝食。昨夜は破裂しそうなおなかを抱え、私たち3人は誰もお酒を飲まないので食後の熱い風呂もなんとか大丈夫、大浴場に繰り出し(一日過ごせるスパです)、ゆったりと3人で会話した後、就寝。ぼかぁ幸せだなあ、若大将気分でした。
起床も6時前、すっきりと目覚めました。

朝は和食がうれしいお年頃。いえ、幼いころから朝は和食が好きです。3人とも同じ感性の持ち主で、和食でなんにも迷いませんでした。そう、和食か洋食かで選べるのです。メニューはこれこの通り。私は主食に薬膳粥を選びました。

旅行が楽しいか楽しくないかは、同行者がバロメータとなります。その点、今回の旅行は楽しいの一言でした。一緒に旅してくださったK先生とFさん、ほんとうにありがとうございました。

名残を惜しみつつチェックアウト。またも白いトヨタアルファードで賢島駅まで送迎。慇懃さは皆無、ただもうあったかいおもてなしに、最初から最後まで上機嫌ですごせました。

お昼前に鳥羽水族館へ着きました。私は2015年以来3年ぶり。スナメリはこのとおり若くて素早く、カメラに納まりません。

ジュゴンのセレナ。3年前は食事に夢中でこっちを向いてくれませんでした。
ああ、来た来た。

セレナかわいいなあ。ほんとうに角度によっては人魚に見えました。

正面に広がる大水槽。

言葉は要りません。

青い色、聖母の色です。海は母なり。

海人(あま)の国で遊んだ2日間でした。

思えば、私の小学校時代の夏休みは、近鉄鳥羽駅前のホテル戸田家に泊まる、それがメインイベントでした。
さまよう天照大神が伊勢の地にようやく落ち着いた、その気持ちが子ども心に理解できたものです。

海のない奈良県民の私ですが、海から生まれたゆえに海が恋しい生物としての本能は健在です。