2019年12月28日、薔薇園で有名な、おふさ観音へ。
秋薔薇が九分九厘散ったなか、深紅の薔薇の蕾一輪、天を摩し。わたなべじゅんこさんの俳句そのもの。
冬薔薇たぶんわたしは魔女になる
わたなべじゅんこ句集『鳥になる』
奈良大学通信教育部の卒業論文の型枠を組み立て、肉付の資料をぺたぺた塗り重ね、心臓に「あんな」結論を埋め込むつもりの、自分自身、魔女になりそうな気がします。
「あんな」とは。
結論としても、未来形の仮定です。
私が奈良に生まれ育ち東大寺境内を鹿みたいに彷徨するのもすべて「あんな」に結びつき、四肢の脱力を誘発します。
なんだろう、もし私の仮定が先達による議論の材料となる日が来れば、嬉しいような、恐ろしいような、
寝た子をこのまま眠らせておいてほしい、そんな年末の曇天を写した心地です。
花より団子。近鉄の大和八木駅高架下、洋食屋「グリルマロニエ」のチキンカツ定食。とんでもないボリューム! ラグビー選手になった気分。
メインにスープにライスで、なんと税込803円の安さ。
とてもやわらかい鶏肉で、油もさっぱりと揚がって、感激のおいしさ。
ここは、私が生まれる前からあったはずのお店です。喫煙可能で、昭和の貴顕紳士がのびのび長居できる、今や希少な場です。
こういった昭和から続くお店に入ると、しんみりするようになってきました。
私も昭和の子ですから。
昭和、さすがに遠い記憶となりました。
橿原市観光交流センター、またの名を、かしはらナビプラザ。
奈良限定デザインのコカコーラ、観光客気分で記念撮影。
今年一年、良くも悪くも充実していました。平成から令和へと時代も移り、昭和生まれの私、3つの元号を生きています。
元号、日本の歴史が継承されてきた、その奇蹟。
モノを研究する文化財学を勉強して得た、モノを生みだす人間そのものへの理解。
私は人間を題材にしている、その事実。
モノには血がかよっている、その幻の、強かさ。
ああ表題に還ります。
冬薔薇、たぶんわたしは魔女になる。