かたたがえ

2019.10.6 面白いから わからないことだらけだから ―京都加茂 当尾の里 岩船寺― 

2019年10月6日、京都は加茂、当尾(とうのお)の里、岩船寺へ。
門をくぐると、目の前に、木立を光背に従えた塔。これはほんとうに浄土めいています。

嵯峨天皇勅願、檀林皇后本願、聖武天皇の霊夢がこの寺の始まりととの、とびっきりの由緒正しさ。
暑いくらいの日だったので、夏のような陽光に緑が照り輝いていました。

ここは小ぢんまりと収まった、揺り籠のようなお寺です。
やはり京都の纏まり感が認められ、奈良の文化圏の山寺ですが、すっきり洗練されています。

岩船寺近辺にお食事処はないので、最寄りの浄瑠璃寺の参道の『塔尾茶屋』へ。
ここのとろろ定食、私の大好物なのです。
煮物、胡麻豆腐、お漬物、地玉子、自家製のお米、地場産の山芋のとろろ、おだしの利いたお味噌汁、あー、私が求めるものすべてここに。

これも女将さんお手製のわらび餅。私の大好物。
とろろ定食以外のメニューもどれもほんとうにおいしくて、しかも、お値打ちなのです。
フーテンの寅さんが立ち寄るような昭和レトロな食堂です。

物見遊山をすればするほど、頭も動かして、本をしっかり読もうと思います。
私の考古学のお師匠様、森浩一先生の言葉を念頭に掲げて。

僕は、位や地位、名誉や勲章がほしくて、学問をつづけているのではない。自分で面白いから、わからないことだらけだから、しかも自分でがんばるとだんだん解けるから、研究をつづけているのである。研究をすることが目的であって、その結果を利用することが目的ではない。“何のために研究をするのですか”などと聞く暇があれば、身体と頭を動かせばいい。僕にとっては研究活動は本能の一つの欲望なのである。身体と頭を動かすうちに自分で答えを見つけられるだろう。

森浩一『僕は考古学に鍛えられた』