ならだより波斯へ

2025.7.26 夢の中 夢の中 しばし漂わせておくんなさい

2025年7月26日、東大寺の最寄り、奈良公園バスターミナルのレクチャーホールまで、「奈良×ウズベキスタン・サマルカンド友好交流フェスタ2025」を観覧しました。

演者は、ウズベキスタン伝統楽器ドゥタール奏者の野﨑万集さん、中央アジア・シルクロード舞踊団のグリスタン、ウズベキスタン国立フィルハーモニー、そして奈良県で活躍されている三味線とアコーディオンのデュオのデ・オッシ。

皆さんとても素晴らしい弾き手で歌い手で踊り手で、とくにウズベキスタン国立フィルハーモニーのダンサーの美しい女性たちによる胡旋舞がもう、大唐の長安の胡姫の舞いに重なり、感激のあまり、気が遠くなりそうでした。

「シルクロードの再会」との演題から、奈良県出身の喜多寧さんが三味線を掻き鳴らして弾き語るその調べ、その、紡がれるとても美しい日本語に、しびれてしまいました。三味線の音色は日本人の遺伝子に沁み込んでいると再認識、これはとても良い誤算でした。

夜のしじま 紅の月 家路を急ぐ道すがら
ふと思い出す ふと気付く どこへ向かえばいいのやら
 道を外れ 獣道 人が通ってはなりませぬ
募る想いが とどのつまり すなわち あやまち
 
 ヨイヤミに目が慣れて 先を見失った
 もう君は新しい暮らしに慣れたろうか
 
草木も眠る丑三つ時に 風がそよぎ 波をつくる
波にのまれ 漂い続け 漆黒の夜を我がものとする
 迷い込んだは イバラの道 道をあけておくんなさい
逃げたつもりが 振り子の如く 舞い戻る 振り出し
 
 ヨイヤミにほだされて 先を見失った
 もう君はあの日々をすべて忘れたろうか
 
明け方の空 東に来光 漆黒は次第に汚される
帳を引け 帳を引け 兎角、闇夜は棲みやすい
 癒えぬ痛み 孤独の極み 我に返ってはなりませぬ
愚かなりし 愚かなりし 幸福が身を滅ぼしてゆく
夢の中 夢の中 しばし漂わせておくんなさい
募る想いが とどのつまり すなわち あやまち
 
 ヨイヤミを通り過ぎ 深い闇の中で
 やがてくるアカツキに怖れすら覚えた
 ヨイヤミを讃えれば 明日をも知らぬ身と
 この胸を締め付ける すべて忘れよかな

ヨイヤミ讃歌
曲・詞: 喜多 寧
編曲:DE-OSSI

レクチャーホールのある奈良公園バスターミナルの2階からは、東大寺境内と三笠山こと若草山が一望できるのです。

行きはとても暑かったのですが、夕立が走ったので、宴が跳ねた寧楽の都の明るすぎる宵の口は、水を打たれて涼しく凪いでいました。

私にとって子どものころに夢見た異国とは、こういった壮大にして繊細な建造物が居並ぶイスラームの街並みのこと。

英雄ティムールのお墓。サマルカンド・ブルーとは、イスラーム建築の美しい青色を指します。

ティムールの寵妃のお墓。寵愛が過ぎて、ティムールの嫉妬から、ビビハニムはモスクのミナレットから落とされて殺されたとの伝説もあり。

統治者にして学者というのが素晴らしい。ティムール朝は当時、先進国でした。

これは絶対に行きたい! 青の都! 映像で観た夜のライトアップされたレギスタン広場、夢のよう!

向かって右手のメドレセ、天文学者のウルグベクが築いたこともあり、星の模様が美しい。

向かって左手のメドレセ、太陽を意味する人物像が描かれている、イスラーム建築にしては稀有な門で有名。

向かって正面のメドレセ、ティラカリとは金箔の意味で、その内部、もちろんのきんきらきん。

あー、私はイスラーム建築が心の底から好き!! と叫びたくなる、優雅で高潔なこの麗々しさ!!

観覧料金は無料、こんな立派なパンフレットと地図までいただきました。

アレクサンドロス大王も魅了された中央アジアの真珠、サマルカンド。古代ソグディアナの都、マラカンダ。

来年あたり、学友と訪れることを目指して。

道を外れ 獣道 人が通ってはなりませぬ
募る想いが とどのつまり すなわち あやまち

癒えぬ痛み 孤独の極み 我に返ってはなりませぬ
愚かなりし 愚かなりし 幸福が身を滅ぼしてゆく

夢の中 夢の中 しばし漂わせておくんなさい

ヨイヤミ讃歌【抄】
曲・詞: 喜多 寧
編曲:DE-OSSI