先日テレビで『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を初めて観ました。
心が洗われました。
すばらしい、絵も、音も、言葉も。
日本はこんな美しいものを創造しうる国なのですね。
燃えていません。
燃えています。
燃えていません。
良きドール(手紙の代筆業「自動手記人形」)とは、人が話している言葉の中から伝えたい本当の心をすくい上げるもの。
あなたは今、その一歩を踏み出したのです。
ヴァイオレット。あなたが良きドールになりますように。燃えています！
自分がしてきたことでどんどん体に火がついて、燃え上がっています！ヴァイオレットだ。
成長すればきっと君はその名前にふさわしい女性になる。
君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ。暁佳奈『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
私も首（こうべ）を垂れ、私心を捨て、良き尸童（よりまし）になりたい。
いにしえびとの伝えたかった思い、掬いあげたい。
2021年10月24日、息子を模擬試験に送り出した私と主人、時間つぶしに東大寺境内を散策。
二月堂へ向かう道。仔鹿を手懐けようとする主人。
「鹿煎餅は？」
「ナッシング」
手ぶらの人間には仔鹿もこれ以上は寄ってきてくれません。
草、たーべよ。
うわぁ、後光が差しています。
この子、神様かもしれない。
８時30分、元来た道を戻り、工場跡事務室を目指します。
んん？ 前方に鹿が２匹？
おーい、道の真ん中、のかんかーい、車に轢かれるがなー。
戒壇堂の石段の前まで、なんとか道を渡りましたが。
中途半端に固まったお二方。車を当然のように迂回させ。
鹿を見送り、工場跡事務室へ。
ここはその名のとおり、乳酸菌飲料製造の工場跡。リッチなモーニングがお薦めの喫茶店です。
アペリティフの林檎ジュース。
このカフェ、息子が生まれる前に一度だけですが主人と来ました。
大人気のモーニング。これが食べたかったのです。
添えられた木の実が造形的で「これ食べられますか？」とご亭主に訊ねてしまった私。
「アーモンドと葡萄で、食べられます。葡萄の枝は食べられないほうが……」
ご亭主はちょっと躊躇された後、丁寧に説明されたので、主人が失笑。
さすがの私も鹿やないんで、葡萄の枝まで食べまへんがな！
和紅茶ベースのハーブティー、ジンジャーをチョイス。
食材はどれも上質で、東大寺境内の背景も上質で、緊張がほぐれる朝食に、うっとり。
パンにサラダに玉子料理に飲み物とヨーグルトと果物、一般的な喫茶店のモーニングのメニュをグレードアップした内容。
ホテルの朝食と同程度の料金ですが、東大寺の借景と穏やかな空間で相殺される値段です。
９時には売り切れのモーニング、８時30分の開店に合わせて入店するくらいでベストです。
葡萄の枝を食べるような浮世離れした人間に思われないうちに、退散。
外観も素敵。築90年だそう。
息子はまだ５年生なので、算数と国語の２教科だけ模試を受けます。なので、10時30分に試験終了です。その30分前の10時に店を出ました。
東大寺境内で朝食を。実に有意義な暇つぶしでした。
息子を試験会場まで迎えに行って、きたまちをぶらついて、行きつけの「とよのあかり すずの音」で昼食を取って、ならまち、興福寺、東大寺をぶらぶら、吉城園へ。
ここは、興福寺塔頭、摩尼珠院の跡地です。
奈良県所有の日本庭園。2020年からは入場料が無料になりました。
「パパとママだけモーニング食べて！ おらは一人で試験受けてたのに！」
息子、おかんむり。
「おらが生まれる前に行ったお店、次はおらも連れていってね」
拗ね方も、かわいいなぁ。
にぎやかな修学旅行生たち、ここの脇を通り過ぎて東大寺を目指す。だからここは穴場の静けさです。
冬が訪れるまでのほんの僅かな享楽かもしれない。それでも錦秋の寧楽の妙味、伝えられれば幸いです。
