かたたがえ

2021.10.15 覚悟して、生きてゆく。

大阪市立美術館に行ってきました。
左手、通天閣の頭が見え隠れ。

行ったことのある方ならご理解いただけるでしょう。
天王寺のここらへん、橋下徹氏が頑張って整理したものの、いまだそこはかとなく魔窟です。

静寂と喧騒、富と貧、聖と俗、光と影の二元論の街、天王寺。
ぼーっとはできない街ですが、野生のアンテナを思う存分張れる、まさにAsyl(不可侵領域)、私は好きです。

千四百年御聖忌記念特別展 『聖徳太子 日出づる処の天子』が開催中。

大阪市立美術館、まるで迎賓館。いや、迎賓館で当たっています。
ここはもともと財閥住友男爵邸、皇族や華族をもてなす貴賓室もあり。

この昭和初期の名建築、第二次世界大戦での大阪大空襲、よくぞ戦火を潜り抜けたものです。

お目当ては、後期展示の「国宝 四天王寺縁起後醍醐天皇宸翰本(部分)」。
四天王寺の由来記に、後醍醐天皇が手形をバシンッと捺したもの。
これ、たしか四天王寺で観たはず。でも幼児だったので、ほぼ失念。

御目文字叶い、ガラスケース越しに御手印と
私の左手の平を重ねました。
「……私、手、デカい……!?」
おいおい、私と後醍醐天皇の手の大きさ、あんまり変わらんで!

罰当たりめ、聖徳太子展なのに、後醍醐天皇目当てとは。
しっぺ返し喰らいました。

もう一つお目当てあり。
それは、漫画家山岸凉子先生の『日出処の天子』の原画。

背景が月の扉絵は前期展示でこれも観たかったのですが、私は真ん中のマグネットの絵、剣を後ろ手に構えている扉絵が一番好きで、あと、漫画の最終ページが絶対に観たかったので、後期に足を運びました。

原画、まるで銅版画のようでした。線がほんとうに繊細で、ピリリと神経が張り詰められていて。
息をつめて命がけで描かれたのではないでしょうか。

山岸凉子先生、私の最も尊敬する描き手かつ語り手です。

聖徳太子、あまりにも偉大で、雲をつかむような存在。
その偉大さは、なんなのか。

大和飛鳥に生まれた一皇子が、天皇の位にも立たなかった者が、ここまで日本の思想の軸に坐すとは。

仏教は宗教というより法律に近く、くらげなす茫洋たる古代日本に、背骨のような筋道をつけたのでは。

飛鳥、斑鳩、河内と聖徳太子が歩んだ道を辿ってみて私が思ったことは「聖徳太子こそ日本最初のリベラリストだったのかもしれない」でした。
自由とは秩序あってこそで、自堕落や野放図とはわけが違うのです。

世間虚仮唯仏是真の仏とは?
仏とは、なんなのか。
真実とは、なんなのか。

すべて無駄、それでも生きてゆく。
そう私は過去記事で書きました。

覚悟して、生きてゆく。
今のところ、それが私の真実です。

四天王寺の懸守。
現行品で販売されている俵型のものは知っていますが、桜型のもの、ありましたっけ?
あまりにもかわいいので、購入。

四天王寺蔵の平安時代の懸守、桜折枝文の生地を張った箱には一寸の如来像が籠められています。
私の手元のこの懸守には、仏像? 護符? はたして何が籠められているのでしょうか。