好きな映画監督はふたり。
ひとりは、私の精神の母となったルキノ・ヴィスコンティ。
死ぬときは映画『夏の嵐』を観ながら、そう勝手に決めています。
19世紀ヴェネツィアはフェニーチェ劇場に降りしきる、イタリア独立の紙吹雪。
イタリアは、私は20代のころ1か月かけて、北はコモ湖やベルガモから南はカプリ島やアマルフィまで、半島の長靴の踵部分とサルデーニャ島とシチリア島以外はほぼ足を運びましたが、なんといってもヴェネツィアが一番でした。
まさに世界一の舞台。
それもこれも『夏の嵐』がゆえ。
天国も地獄も忘れよう!
リヴィア・セルピエーリ伯爵夫人を誘惑し、利用し、打ち捨てる、フランツ・マーラー中尉の殺し文句。
人生とは熱病のようなもの。
たった一幕の。