
2025年3月5日、歴史館あすか☆こやま座での第5回目の古文書講座に参加しました。私は今日で参加4回目です。古文書ツアー参加は初めて! とても待ち遠しかった!

安田真紀子先生の古文書講座、いつもは明日香村のこやま座で開催ですが、今日は御所市の「ごせ町センター」で。出来て間もない建物なのでしょう、すっきりとした町屋風の地域交流施設で、快適に講義を受けられました。
講義の内容は開示しませんが、大塩平八郎一派の御触書つまり手配書だけに文体が箇条書きなので、私が古文書に慣れてきたこともありますが、かなり判じやすかったです。
奈良大学通信教育部の学友Nさん、今回初めて古文書講座にご参加され、「先生に教わると、読めるんだよね、解るんだよね、すごいよ」と感嘆されていました。

ごせ町センターの隣は銭湯、「御所宝湯」。リフォームされていることが一目でわかります。フィンランドサウナも完備されているとのこと。Nさん「うわ、入りたい!」と。他の参加者各位も名残惜しそうに眺めておられました。

最近マスコミでよく取り上げられている「ホテルRITA」さん。おっしゃれ〜!
御所まちは、ならまちや今井町や大和郡山や宇陀や高取や五條新町のような、集客を見込める町家の街作りを目指しているのです。
私も実のところ、駅近の東川酒店さんに御所の地酒の『篠峯』を買いに行く程度できちんと御所まちを巡っていなかったので、新鮮。
こんな綺麗な町だったんだ。

おお、モリソン万年筆カフェ! ここもマスコミでよく取り上げられています。それが、なかなか訪れられないのは、どうしたことなのか。

侵入者対策のクランクがもう、最高。計画的に成された街作り、つまり社会性の高さが明々白々。

このクランク、高札場です。御触書や掟書を掲示した場所。ここに掲げられているのはレプリカです。

T字路には魔が籠るので、「衝破除(しょうはよけ)」の岩を置きます。私、こういった岩、奈良のいたるところの辻で見たことあり。そういう意味なんだ。だから石や岩、迂闊に動かしてはいけない、と。

奈良の地酒の雄『風の森』で有名な「油長酒造」の山本家。地元では「ゆちょう」ではなく「ゆうちょう」と発音します。山本家、中井家と同じくらいの旧家です。そもそも、油問屋なのですね。

元郵便局。モダンクラシックな洋館、かわいい。商売人の町でもあったことから、不易流行の気鋭に満ちていたことが手に取れるよう、御所まち。

さて、小径へ進み、中井家へ向かいます。
御所市には数えきれないくらい訪れているのに、青い鳥、なかなか見えないものです。

中井家に到着。黒光りする重厚な空間で、当代のご主人、中井将一郎さんが懇切丁寧な解説を施してくださいました。これは、上棟札、寛政4年、大河ドラマ『べらぼう』の時代です。私は今年の大河ドラマ、大好き!

御所まち総出のイベント、霜月祭。今年で25年、そんな昔からのお祭りとは、申し訳ない、存じ上げていなかった。今年は絶対に伺わせていただきます。

定書、これが本物。なかなか面白い内容でした。幕府の意向が読み取れて。

掟書(だったはず)の説明をされる中井さん。あれ、ここらへんの記憶が曖昧、中井さん、もし間違えていましたらごめんなさい。

銀の塊、これも貨幣なのです。つまり銀貨。大きな銀貨は安政期のもので、動乱期だったこともあり、錫や銅の混ぜ物が多い。中井家はそもそも茶賣から商いを興した家とのこと。しかし、両替商として今の銀行業にも携わるようにも。「中井家は、いわゆる総合商社です」と中井さん。伊藤忠みたいな?

寛永通宝(で良かったかな)、その下は、紙のお札、手形ではなく、紙幣なのです。

銀を測るための天秤に置く、分銅。これは、地図記号の銀行のモチーフ。ただ、平成25年に銀行の地図記号は廃止されました。それ、中井さんに聞くまで、知らなかったな。

御所町並屋鋪地引絵図の写し。検地の地図。中井さんのお父さんが、カラーコピーされたもの。現物は、御所市教育委員会所蔵とのこと。

今もあまり変わらないのだそう、町の区画は。

先日ちょうど歴史地理学のスクーリングを受けたばかりで、なんだか御所まちツアーもスクーリングに思えてきました。

公文書をまとめた公用帳。御触書ももちろん、ここに。

今回の古文書講座のテキストに使用させてくださったものとはまた違う、大塩平八郎のお触書。これも、読めます、もう。

葛上郡御所町宗門御改帳(だったかな)。宗門人別改帳のことかと。要は、戸籍ですね。

中井さんのおうち、お宝の山です。

組合札(で良かったかな)。中井家は木綿を商うと合わせてその飼料となる肥(こえ)も商いました。

肥屋組合札の裏。組合頭土屋新兵衛。

木綿組合札の裏。南都取締、ああ、ここらへんの記憶も曖昧。アカンなあ。

これ、火消しに使った江戸時代の水鉄砲、龍吐水。こんな面白い古物がたくさんあるそうです、中井さんのおうちには。

これは袖搦み、罪人を捕らえるのに使用したもの。こんなの、博物館でしか見たことなかった。

天井から伸びる金具、蔀(しとみ)を留める金具です。神殿造りや寺社仏閣でしか使用されないような蔀、中井家は特別なおうちだったのだなと思い知らされました。

中井家の外観。しばし江戸時代に遊べた心地。私は今、大河ドラマの『べらぼう』にゾッコンなので、今日の中井家探訪はほんとうに楽しめました。
中井さんの説明もとても上手で面白くて、おそらく、もっともっと仰りたいことお披露目したいこと滾々と湧く泉のごとし、なのかと拝察しました。こちらも泊まり込みでお話を拝聴したくなるほどでした。中井家、もっともっと、お宝が眠っている、楽しいエピソードをまとわせて。
中井さんと学友会のМさんは同じ大学のご出身で、ここでも知己はつながって、寺原館長さんのご人望とご心眼にあやかって、まだまだ遊んで学ぶパレードは続いていくこと間違いなしです。