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2022.5.5 だから唐三彩が好きなんだ

5月5日こどもの日、またも奈良国立博物館特別展「大安寺のすべて 天平のみほとけと祈り」の親子向けワークショップ、「小花もようのかざりタイルをつくろう!」に参加。

今回はワークショップ開始30分前、つまり受付開始の9時30分に着き、奈良博の職員さんに「どうぞどうぞ」と席を勧められ、「受付は?」と訊きますと「瓊花さんですね」と顔パス。
……了解、「来るな」と言われるまで参加し続けます。

今回のワークショップは、大安寺出土の唐三彩の陶枕をモチーフにタイル制作。

私は唐三彩の大ファン。おまけに講師の先生が以前から訪問したかった若草山麓の春日野窯さん。
喜び勇んでの参加。

春日野窯さんのホームページでタイルのデザインを知り、予め彩色を考えて図案を持参しますと、「下書きまで用意してくださって!」と先生に感激され、「その下書き、かわいいから、ちょっと撮らせてね」と撮影まで。

奈良博の職員さんたちは「ワークショップへの意気込み?」「なんて用意周到な!」と驚嘆。
「だってこんな細かい模様、即興では色の組み合わせが難しいと思って」と私ぶつぶつ。
「ママ、抜け駆けが好きって言ってたよね」と息子。

――戦略としての先制は、嫌いやないね。

唐三彩はその名の通り、中国の唐代に「副葬品」として盛んに作られた陶器で、当然、出土したのは墳墓から。
白・赤・緑・藍・紫などいろいろな色がありますが、組み合わせは三色まで。
だから、唐三彩なのです。

粘土を線で区切って小花模様のハンコを捺す。自由に捺すなり描くなりして良し。
私は初心貫徹、持参の下書きに則します。

円い文とは、先生の見本で初見。筆尻で力を加減して大小の円を捺せるのです。

「円い文、古代っぽい」と先生。ほんまや、古瓦の珠文みたい。

色付けは無言で。褐色と白と緑の唐三彩。息子、黙々と頑張りました。
「お子さんって飽きっぽいのに、すごい集中力やね」と先生。
これは私譲りでしょう。私は人生、集中力だけで乗り越えてきました。

私も色付け終了。開始10時から11時30分まで、ぶっ通しでした。
「唐三彩の職人の気持ち、追体験できたでしょうか」と先生。

私、これ、ずっとできるわ。
三色しか使用できない、制限のなかで生み出すことの圧力が心地良く、譬えれば学生服のなかで沸騰する青春のマグマ、無個性が個性を際立たせる。

自由は、不自由のなかでこそ。

だから、唐三彩が好きなんだ。

彩色を終えたタイルは春日野窯さんで焼いてもらって、後日引き取りに向かいます。

大安寺は少し不便な場所にあり、今回の奈良博の催しは私にはたいへん好都合といえます。
有名な馬頭観音は後期展覧、また来訪の予定です。

舒明天皇勅願の百済大寺が基となったいわれる大安寺、本邦初の勅願寺院なのです、実は。
舒明天皇、妻子(斉明・天智・天武)が突出しているせいか正直影の薄い天皇です。
それが、意外やこんな大それたことを為している。

日本古代史、わかんないことだらけ、まだまだ。

おみやげは馬頭観音と鬼瓦の麻布製のマグネットしおり。中川正七商店さん作です。
端午の節句の粽は、生駒駅前の幾世屋さん作。
撮影前に食べてしまいましたが、味噌餡の柏餅、絶品でした。