2020年8月7日、奈良国立博物館まで出向きました。
お目当ては開催中の特別展御大典記念「よみがえる正倉院宝物 再現模造にみる天平の技」。
主人は仕事でしたので息子とふたり、曇天で風も吹く、耐えられる暑さの奈良の空の下、だからといって無理して歩かず、駅からバスで博物館前まで向かいました。
散策を楽しめるような状況でもない。近鉄奈良駅もがらがらでした。
奈良博に行く前に腹ふさぎ、お気に入りの黒川本家へ。
中韓の観光客や、夏休みの学生で溢れかえっていた昨年までが、嘘のよう。
私と息子で貸し切りでした。
葛匠ランチセット。いつもは中韓の観光客に占領されて座れない窓際で、春日の山並みを眺めながら、夏のごちそうを堪能しました。
怖いくらい静かだな。
そう感じ入りました。
季節の葛あんかけ丼セット。この季節は、うす葛冷やしあんかけネバ鰻丼。
息子は昨年の夏もこれを食べました。
大好物を目前に、昂る息子。君、今日はこれ目当てやし。まあええ、たまの贅沢や。
デザート。笹に包まれた葛餅。夏の楽しみ、一年ぶり。
オオスカシバの卵みたい。きれいな薄緑。私のいちばん好きな色。
葛餅の中身はカスタードクリームのあん。すっごく、おいしい!
夏の味、必ずテイクアウトします。主人もこれが大好物なので。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ」
腹ごなし、奈良博へレッツゴー!
息子の志気は足元の鹿のフン対策。松ぼっくりと見間違う巨大な鹿フンもあるのです。手榴弾の大きさなので、息子はそれらを「爆弾」と呼んでいます。
「奈良公園は爆弾だらけや!」と息子。
なるほど、『平家物語』の名乗りは必要か。
この閑散とした風景、早朝ではなく、午後1時過ぎのものです。
信じられない、いくら平日でもこれが夏休みの奈良博前、東大寺前の風景だなんて。
奈良博では入館の際に体温確認。手指消毒とマスク着用の励行。
しかし、空いてたな、もう。
さみしくなっちゃった。天下の奈良国立博物館が。
地下のミュージアムショップ。
横のカフェには何組か客がいて、それでも物静かであることには変わりなく。
私が知り尽くした町、奈良ではないような、StrangerかUnknownか、それともAlienかになったような。
五弦琵琶の再現模造がやっぱり目を惹かれました。
天平時代の日本の国力、なかなかのものだったのでしょう。
こんな極限まで手の込んだ最高級の調度品に囲まれて、聖武天皇は生きていた。
決して、満たされることなく。
この奈良博の新館入口「奈良国立博物館」の文字は聖武天皇筆「雑集」から集字されたもの。
細く整い、懸命な、ひりつくような、その手蹟。
私は好きです。
決して満たされない、もがき続ける、それが生きること。
聖武天皇は、誰よりも、生き貫(ぬ)かれた。
奈良博には、日本国内のあらゆる博物館美術館のチラシが用意され、旅行気分で眺めて楽しんでいます。
ウポポイのチラシが見当たらなく、これは私が見落としたのかも。
今回の展覧会の戦利品、螺鈿箱の缶飴、五弦琵琶のマグネット、そして、同じく五弦琵琶のエコバッグ&ポーチ。
エコバッグ&ポーチ、もったいないのとDeep Impactとで、よう使わんわ、これ。
お土産に購入した螺鈿箱の缶飴。飴を食べた後の缶を、博物館ワークショップの宝箱に。
海獣葡萄鏡と富本銭は、キトラ古墳四神の館別館で。レジンの窯変天目茶碗は、奈良博で。勾玉とオーブン粘土の古墳マグネットは、八尾市立しおんじやま古墳学習館で。
古墳マグネット、前方後円墳を私が、前方後方墳を息子が作成。陪塚が赤ちゃんみたいでかわいいのです。
私は、当時小学1年生の息子を陪塚のモデルにしました。