2019年3月30日、東大寺へ向かいました。大仏殿の西、指図堂の白い馬酔木。
春のはじまり、東大寺の境内は柳の緑や三分咲きの桜で、ほのぼのとしています。
指図堂のおびんずる様にご挨拶をして、さらに西へ。
奈良大学通信教育部のスクーリング「文化財学講読Ⅱ」の講師、深澤先生にご紹介していただいた、東大寺が後見する「社会福祉法人東大寺福祉事業団奈良親子レスパイトハウス」活動に参加させていただくために。
奈良親子レスパイトハウスへ。指図堂の隣が、レスパイトハウスなのです。
30日と31日は、奈良地元作家各位による慈善作品展がここで催され、私は息子ともどもお招きされました。
窓口のAさんから「瓊花さん、Rくん、お待ちしていました。ご入会の手続きと活動のご説明の前に、富和先生にご紹介しますね」と。
レスパイトハウス代表の富和清隆先生は、東大寺福祉療育病院の院長先生でもあります。
先生はあたたかくやさしい方で、「深澤先生の生徒さんですね。お話はうかがっています。ようこそおいでになられました。今日はゆっくり楽しんでくださいね」と私に仰られた後、息子に笑いかけられました。
「僕、何年生? 4月から3年生? へえ、おおきいね、おおきいほうだよね。うん、君は、なんでもできそうだね!」
息子は富和先生に「はい、なんでもお手伝いします」と答えました。
私は、作家さんお手製の、絹糸を染めて織り上げた布のコサージュを買いました。
こういった誰も持っていないようなコサージュがほしかったのと、収益はレスパイトハウスへ寄付されるので、より一層、良い買い物をしたと満足。
古式ゆかしい和建築のレスパイトハウス。お庭は椿が散って、木蓮が花盛り。
蟻の巣をつついたり、カタツムリのからを見つけたり、古代蓮の鉢のメダカを見せてもらったり、お座敷でおうすの抹茶を一服したり、息子はすっかりレスパイトハウスになじんでしまいました。
Aさんに「Rくん、工作、得意かな? レスパイトに来られるお子さんに、折り紙とかお絵かきとか、いっしょにしてもらえるかな?」と問われた息子は「得意だよ! なんでもするよ!」と嬉しそうに答えました。
さて、私は何ができるかな?
ひとつ課題が増えました。
帰路に着く際、Aさんに「レスパイトハウスと指図堂の間の道をまっすぐ南へ降りて、小川の橋を渡って、丘を登っていくと、東大寺福祉療育病院の前、ほぼ満開のみごとな桜の大木があります。ぜひ訪ねてみてください」と教わりました。
息子とふたり、おお、途中で道がないけど、とにかく進み、わあ、ほんとうに小川がある! と探検しながら丘を登りました。
すると。
ああ、あれだ、すごい、すごい、降るような花、なんてきれい!
いのちいっぱい、咲いてるね!
東大寺の境内はとても広大。指図堂や戒壇堂のあたり、観光客も手薄。
でも実際は、このあたりが東大寺境内で最も美しい。
今日、レスパイトハウスへ向かって僥倖でした。たくさんの慈悲に与りました。
いちばんいいものを、こどもたちへ捧げたい。
レスパイトハウスも、その隣の幼稚園も、もの静かですが実際はとても豊かな立地にあります。
東大寺の真髄です。