2019年2月16日、奈良国立博物館にて、特別陳列「覚盛上人770年御忌 鎌倉時代の唐招提寺と戒律復興」の関連イベント、親子ワークショップ「オリジナルうちわ作り」に参加しました。
奈良博の地下のミュージアムショップの前が催し物の会場。
唐招提寺より石田講師と、学生さんのようにうら若いうちわ製作者の女性職員おふたりが派遣されました。
なごやかに石田講師の講話が始まり、唐招提寺中興者覚盛上人の逝去日5月19日に行われる「うちわまき」、それが奈良で三指に数えられる危険な祭りとうかがい、確かにあれは「仁義なき争奪戦」と納得。
奈良三大危険な祭り、廣瀬大社の砂かけ神事は確実。
あとひとつ、蛇穴(さらぎ)の汁かけ祭り、かな。
以前は熱々の味噌汁を衆人にぶっかけていましたが、今はさすがにそれは無し、です。
奈良の祭りがどれもけっこう長閑なのは、歴史が古いだけに、早々と姿を和らげたからかもしれません。
鎌倉時代に廃れていた唐招提寺で覚盛上人が説いた「不殺生」「不偸盗」、それだけ世の中が荒れていたことかと。
うちわも、蚊を払うためのもの、つまり、虫の命も粗末にしないためのもの。
うちわって、仏具、なんですね。
題材はお好きなように、とのこと。
息子は春日の神鹿をチョイス。
絵付けをするのは、うちわまき専用のうちわと違い、一回り大きい作品用のうちわです。
できあがったうちわは、唐招提寺でうちわに仕立てられ、うちわまきの法要日まで奉納および展示されます。
「保護者の方もどうぞ」と和紙が配布。
え、いきなり言われても、何を描けば。あ、唐招提寺、あれしかない、うんうん。
頭をひねって色鉛筆とパステルをハート型の和紙にすべらせます。
石田講師に「瓊花ですね、すばらしい」とお褒めいただき、ひと安心。
瓊花とわかっていただけました。
うちわまきのうちわの製作実演。骨に糊をつけます。
骨に和紙を貼ります。ここまでは簡単。
余分を両刃の剃刀で切り落とし、ふちに紅い和紙を貼ります。
熟練の技、お若いお嬢さんおふたり、見事です。
五色の和紙を上下に貼り、できあがり。
梵語は横に読みます。千手観音と烏枢沙摩(うすさま)明王の真言。
こんなかわいらしい若いひとたちが奈良の文化を支えてくださっているんだと知り、感激しました。
息子はもちろん、ほかのお子さんたちも、きらきらとした目で実演を見つめていました。
奈良の古いものを愛してくれるこどもたち、ここにたくさんいます。
なんだかとても安心しました。
息子の神鹿と私の瓊花。
これから立派なうちわになるため、唐招提寺に預かられます。
ちょっと、うらやましいなあ、私も唐招提寺にお世話になりたい。
おなかがすいて、息子は駅まで歩けない、と。
しかたない、奈良国立博物館前の夢風ひろばに向かいました。
念願の老舗「黒川本家」の葛料理。観光地の観光レストランですが、すいていました。
敷居が高そうに見えるせいかも。
とにかく、落ち着いて食事ができました。
ちょっと贅沢、「葛匠ランチ」を注文。蓮根饅頭葛餡かけと葛餅の天麩羅、黒米と里芋の餅チーズ焼き、かなりおなかがふくれました。
次回は減量、葛餡かけ丼にします。
味はもちろん、美味でしたよ!
食後のデザート。葛わらび餅、絶品……!
これは、さすがやわ、こんな上品な葛わらび餅、初めて。
参りました。
雨が降りそうで降らない曇天。戒壇堂あたりから大仏殿を眺めます。
龍王が降りてきそうな気配。
精悍とした東大寺もまた、うつくしい。
奈良女子大学。国立の名門校です。
旧鍋屋交番きたまち案内所の駐在さんから「外からの見学はいけるよ。ナラジョはもともと南都奉行所で、建物自体が重要文化財やから」と教わり、こそっと記念撮影。
でも、老若男女、みんな自由に出入りしていました。
男子禁制でもない。
「きたまち」あたり、とてもお店が多くなりました。
お値打ちな定食屋もいくつか。
ガラス張りの編み物教室、いいなあ、私も通いたくなりました。
奈良は、歴史と文化、それだけじゃなく、実際に人がつつましくもこころ豊かに暮らしている町です。
唐招提寺で座位のまま永眠された鑑真和上が、お見守りくださっている町、それが奈良なのです。