ならだより

2018.4.29 五條から御所へ

布留から阿騎野を経て室生まで、奈良県東北部の記事を転載し終え、これから5日間に渡っては奈良盆地南西部の葛城地方の記事を転載します。

今年の1月16日から始まったオリジナルブログ、残りの飛鳥地方の記事の転載は年明けから開始して、すべての時事記事の転載が完了の予定。

ちょうど1年間で、7年間にもおよぶ過去記事を移しかえることが可能となりました。以降、毎日の記事記載は終えることになり、以前のように週刊の発行となる予定。

とりあえず、目標は達成です。

2018年4月29日、奈良県南部の起点の五條市、登山用具やアウトドアグッズ専門店のモンベル五條店へ。藤原武智麻呂と仲麻呂の父子ゆかりの栄山寺が隣接しています。

ここは吉野川沿いなので、カヌーやラフティングなどアウトドアのフィールドベースであり、元は国民宿舎であった施設なのでゲストハウスとして宿泊もできます。

我が家も夏休みには、川遊びの拠点としてこちらを利用しています。

夏休みでなくても、今日みたいにふらりと立ち寄ったりもします。この施設のダイニングカフェで、食事ができるので。

今日はランチ目当てなので降りませんが、ここの吉野川の流れ、翡翠色でとても美しいのです。

ガパオライスとキーマカリーとバターチキンカリー。アウトドアの食事が基本です。川遊びの後など、身に染みるおいしさです。

午後から訪れたのは、御所市の金剛山のふもと、高鴨神社。とーっても古い社歴を誇る大社、古代豪族鴨氏の産土です。20年ぶりくらいになります、お参りは。息子は、もちろん今日が初めて。

宮池の浮舞台から本殿を望みます。この舞台、以前にはまったく気づきませんでした。20年前には、なかったのかもしれません。

100円で鯉の餌を買いました。たっぷりの量で、かなり楽しめました。参拝客も、大人数ではなくても途切れることもなく、神(かん)さびた20年前の印象が、だいぶ塗りかえられました。

真新しい拝殿が新緑によく映えて、生き生きとしていました、目に映るすべてが。

抹茶好きの息子のため、お薄をいただくことに。たくさんの鉢植えは菖蒲かと。高鴨神社は日本桜草の最拠点であり、いまが見頃ですが、繊細な花なので撮影禁止。
品種改良を楽しむ日本桜草を前に恐縮ですが、野性の一重の白い桜草が、私にはいちばん心に残りました。

主菓子の銘は「山吹」。金団は抹茶に合います。私も二十歳から5年間ほど、茶道を嗜みました。花より団子、季節ごとのお菓子が目当てで。

高鴨神社オリジナルの鴨みくじです。かわいいので引いてみました。

へー、大吉引くなんて10年ぶりくらい。この10年、吉が多かったかな。絶好調、ですって。学業の「クリアできるときです」の一言が、地味にいちばん嬉しいです。

まだ陽も高い、山麓線を北上して着いた先は、九品寺(くぼんじ)。行基さんが開祖の古い古いお寺で、南北朝時代に楠木正成に与した楢原氏が奉納した千体仏で有名。
しかし、南朝の命運を知る後世の私には、墓標でもある数多の石仏を写真に納める気は、いっかな湧きません。
石段を登りきる寸前、ふと見上げたら、山から降り注ぐ光の中、お地蔵様のお背中、まるで一幅の絵のよう。

息を呑みました。
お地蔵様がまっすぐ見つめているのは、数多の石仏、すなわち数多の同胞の魂魄、です。

金剛葛城山脈の北限である二上山、そのふもとの町で生まれ育った私も、もちろん、南朝側の者となります。

南朝の終わらない祈り。ああ、たかだか700年経ったところで何も終わっていない、祈りは続く、そう思わずにいられませんでした。