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スクーリング顧みて

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満願成就で夢から覚めたような心地のいま、冷静にスクーリングについて考察してみたくなりました。
以下、これまで私が受けたスクーリング科目とその成績。悪い点から良い点へ、昇順の公表とします。

文化財修復学 70
★臨床心理学 70
奈良文化論 75
★情報処理 80
★データ処理論 80
★文化財学演習Ⅰ 80
★日本史特殊講義 80
文化財学講読Ⅱ 80
仏教考古学 84
文化財学演習Ⅲ 85
★経営学基礎 85
★地理情報システム 85
★中国語 88
★文化財学演習Ⅱ 90
★社会学基礎 90
★国際関係論Ⅳ 92
★心理学基礎 95

★は在宅スクーリング

① 一律100点

② 80点「以上」

③ 一律80点

④ 一律70点

⑤ 60点「以上」

⑥ 59点「以下」まさかの不合格

私が知った限り、スクーリングの成績判定、上記の6パターンに分かれます。
問題は、5番目の科目です。これは当日の筆記試験のレポートでかなり点数の差がつきます。
まあ、スクーリングは基本、参加すれば単位はもらえます。が、やはり60点では、意気消沈、となりますか。

さらに大問題、6番目。歴史地理学は、最終日の試験レポート次第で落とされる場合もあり。ご担当の土平先生の熱意に対価するレポートを書かない人がいる、ということでしょうか。逆説的に、学位を取りに大学に通っている当然を肝に銘じていれば、合格できる科目なのでしょう。

さて、私には複数の意見を総括したbrainがいます。要するに、私の奈良大学通信教育部での成績を肴に一杯やる、そんな巷間の批評家のことです。
壮年男性の外科医師に収斂して表現したbrainが、私の閉鎖した旧ブログでけっこう人気だったので、満を持しての復活です。

文化財修復学 70
「筆記試験が行われて、なのに全員70点て、それっていったい何を試してるんだか」
「それでもちゃんと勉強しましたよ。私と同じように朝早くから通信教育部棟に来て、試験勉強している人、いっぱいいましたもん」
「それにしても、絵馬の迦陵頻伽、よく描いたね、限られた時間で」
「実習で同席だったTさんも、私みたいに朝早くから実習室で、絵馬を仕上げておられました。せっかく時間が許されているのなら、その限度まで努力したいですし」
「そこらへんが生き抜けるかどうかの分かれ目だよね」
「怖いこと言いますね、相変わらず」

★臨床心理学 70
「臨床心理学ってことは、これ、精神病理の講義なの?」
「そうなんじゃないでしょうか」
「情緒も減ったくれもない外科医の僕が他人様のこと言えた義理ないけどさ、瓊花さん心理学向いてないと思うよ」
「私もそう思います。だからかな、試験結果、これまでで最低点」
「あなた最低点を喰らっても、めげてないね。Pioneerなのか、Voyagerなのか」
「もう一つの心理学の講義、心理学基礎も、めげずに受講しますよ」
「わかった、あなたFighterだ」

奈良文化論 75
「奈良で近代文学って、ふーん、て感じ」
「授業内容によると思います。中将姫が演題のときに受講すれば、私も身が入ったと思いますし。ちなみに、先輩のツツコワケさんはこの科目、受講されませんでした。『せっかく奈良に来て、奈良時代の遺物をスルーなんて、私にはもったいなくて無理』、とのことで」
「それじゃこの科目、受講するの避ける人、多いんじゃないの?」
「そうでもないと思いますよ、奈良公園とならまちの遠足にはなりますから」

★情報処理 80
「完顔阿骨打(ワンヤンアクダ)、漢字で書けるよ、僕」
「デジタルを駆使する、それがこれからの考古学で、この科目、城郭や土城に興味のある方は、受けて絶対に損はないですね」
「Digital Surveyってやつだね」
「私個人としては、金代女真や契丹など、靺鞨や渤海以降の中国東北部の歴史に触れることができて、脳細胞が弾ける刺激を味わえました」
「皆、満州、ツングースの眷属だ」
「この科目も、現地で受講したかったです」

★データ処理論 80
「現地スクーリングでは、ならまち界隈を取材してレポートを写真付きで書く。しかし、在宅スクーリングでは、取材先は各々の最寄りで見繕って良い、と」
「私は飛鳥の橘寺を訪ねました。聖徳太子の生誕地に」
「なんでまた橘寺に限局したの」
「先輩のツツコワケさんが、『50歳ほどで聖徳太子は亡くなったそうで、自分もそれまでにそれなりの事績を残し、いつ死んでもいいようにしておくべきだったと思う』って、仰っていましてね」
「追善だね」
「追善です」

★文化財学演習Ⅰ 80
「『研究テーマの具体的な内容と、参考文献一覧を見て、すでに論旨はできており、あとは卒業論文を書くだけの状況かと思います。ただし、研究は予想通りに行かない方が面白いこともあります。研究のプロセスを楽しんで続けてください。』」
「豊島先生の講評、煽動的でしょう?」
「瓊花さんみたいな生意気な学生には、こうも言いたくなるでしょうよ、講師としては」
「ムチとムチ、ですか」
「あなた自分でアメは用意できる人だからね」

★日本史特殊講義 80
「この80点ってどうなの?」
「難しい講義だと聞いています。80点以上が取りにくい科目だと。資料が膨大で、私もかなり読み込んでレポート書きました。上古から上代までの歴史と文学が得意でないと、しんどい科目でしょう」
「とりあえず優なんだね」
「ええ、素直にうれしいです」
「その姿勢がレポートにも出てたんだろうね」

文化財学講読Ⅱ 80
「一生の想い出の講義と伺ってるよ。僕も学生に講釈垂れる身の程でもあるので、羨ましい限り」
「私の閉鎖したブログでも、常にトップクラスの人気を博す記事が、この科目について書いたものでした」
「開示しないの?」
「講義内容に触れるくらい、密に記事に挙げたので。言いにくいのですが、講義ご担当の深澤先生が奈良大学通信教育部のスクーリングからご勇退されるまでは、開示しないつもりです」
「それ聞いたら、ますます羨ましくなった。僕も精進しないとね、指導者として」

仏教考古学 84
「仏教の考古学、って?」
「考古遺物の対象が仏教に絡むもの、です」
「試験したの?」
「筆記試験のテーマは、屋根かお墓について。事実ですが『ほんまかいな』と思えたお墓について書きました。当時のご担当の藤澤先生も『ほんまかいな』と思われたのではないでしょうか」
「80点以上は確約された先生だったんだよね。お優しいね」
「藤澤先生が『偉い人の墓より、庶民の墓のほうが面白い』と仰られたとき、私は脊髄反射で昭和天皇の言葉『雑草なんてものはない。どの草にもみんな名前がある』を思い出しました」
「80点に加味された4点に、あなたの『ほんまかいな』のレポートへのエールを感じるよ」

文化財学演習Ⅲ 85
「瓊花さん、この科目についてはもう何も訊かなくったっていいよね」
「忖度ですか」
「忖度です」

★経営学基礎 85
「経営学って、いったいどんなレポート書いたの?」
「いくつかの選択肢から、課題を自分で選べましてね」
「なら自分の適性に合わせられるわけか」
「合わせられたんでしょうね」
「だからそこそこの好成績というわけ」
「ありがたいことに」

★地理情報システム 85
「これも優だね」
「思っていた以上の好成績でした」
「なんで?」
「メンタルマップについて、古代びとは場面記憶の能力者を地図として扱ったなんて、トンデモな推論を書いたので」
「ふうん、実り多いじゃない、逆説的に」

★中国語 88
「ハチハチだ。中国で最も縁起のいい数字だよ」
「丁寧に赤を入れていただいたレポート、ほんとうにうれしかったです」
「いい成績のときって、批評の言葉もないよね」
「だから私、奈良大学通信教育部の在学生ブログ、悪い成績を公表している方しかお近づきになりたいと思わないんです」
「低い点数は隠蔽して、高得点ばっかり公開してる手合い、鼻持ちならないよね」
「そこまで思い入れもないですよ、そういった方々に」

★文化財学演習Ⅱ 90
「『研究テーマの蝉に関する問題は、古代の日本人、そして東アジアの精神世界を考える上で興味深いです。研究内容にあるように、この問題に関して東大寺の金堂鎮壇具は重要です。参考文献では、国内外の関連資料を多数収集しており、研究目的やそれを明確にする研究史についての知識が相当に整理されているようです。仏教史や宗教史なども参照しつつ、今後も研究を進めてください。』」
「この科目ご担当の小林先生が、私の卒論の教官にもなってくださったんです」
「きちんと斟酌されて、配点されていると、お見受けするね」
「ちなみに、演習ⅠもⅡも、私の研究テーマ報告書は最後尾、しんがりを務めておりました。多分、古参だからと思いますが」
「あなたの報告書、学術雑誌に投稿する論文の抄録並の仕上がりだよ。こんなの、みんなビビッちまうから、ラストに置いてたほうがいいよ」

★社会学基礎 90
「やったね、これまた90点」
「この科目、90点もとれた意義を知りたいです。講評がないのが残念で」
「レポートの題材、何にしたの?」
「内山永久寺と能楽について、です」
「うわ、面白そう」
「変化できなかったもの、変化できたもの、その類比を書いたんです」
「あー、なんか読めた」

★国際関係論Ⅳ 92
「あなたが課題に取り上げた映画、Bernhard Schlink原作の『Der Vorleser』、秀作だよ」
「この科目のレポートの私なりの主題は『言葉』だったんで」
「なかなかの高得点からして、視点が定まりやすい科目だったのかな」
「レポート作成は、材料選びが、すべてですから」
「主題に『言葉』を選ぶ人の台詞だよ」

★心理学基礎 95
「更なる高得点! 素晴らしい」
「心理学系はダメかと思いきや」
「あなた相性が良かったんだよ、この先生とは」
「それ言っちゃオシマイです」
「レポート、自省を問う内容だね」
「結果、私は『不服な子ども』でした」
「従わないよね瓊花さん確かにすべてに」
「取り繕っても、三つ子の魂百まで、それを正直に書きました」
「だから高得点なんだよ」