飛鳥へ

ひとつの傘のもと、みんなで歩いていける。

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なんで江戸時代が苦手かというと、実にしょうもない理由ですが、昭和に観た時代劇のいくつかが身も蓋もなく残酷だったので。
特に、『新・必殺仕置人』で中村嘉葎雄さん演じる鋳掛屋の巳代松が囚われた奉行所で、頭蓋骨を責具で締め上げられて廃人にされるという強烈な拷問シーン、一生のトラウマとなってしまい。

でも、子ども心に、この過酷さこそが現実なんだと、フィクションから教わった気がしました。
江戸時代なんてほんの200年ほど前のことで、搾取する側の暗黒面が近世になればなるほど証拠も豊富に残って肉薄するということも。

さて、全然この記事に関係ありませんが、『新・必殺仕置人』の主人公、山崎努さん演じる念仏の鉄、どこか『鬼滅の刃』の音柱宇随天元に似通っていると思うのは私だけ?
かっこ良かったなあ、骨接ぎ屋、念仏の鉄。

生者必滅会者定離、あばよ!

念仏の鉄『新・必殺仕置人』

傘形連判状 Ⓒ生駒市デジタルミュージアム
生駒谷に残る傘形連判状 | 生駒市デジタルミュージアム

私の住まいの最寄の公園には、慶応4年(1868)に起きた生駒一揆の舞台、矢野代官所跡の石碑があります。大坂に駐屯していた長州藩に生駒谷の領民たちは加勢を求め、それが受け入れられたのです。
さすが長州藩、やり手です。

傘(からかさ)連判、一揆の首謀者を隠し護るために、このような形式をとっています。そして、意外や農民一揆、7割ほどはその歎願が聞き入れられたそうです。
ただし、首謀者のその命と引き換えに。

何よりも、先ず、この傘連判の手蹟の立派なこと。
みんな、死にに行く身として認(したた)められた名前なのだと一目瞭然、筋の通った美しさ。

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雨を感じられるやつもいる。ただ濡れるだけのやつもいる。

ボブ・マーリー

破れかぶれでも、傘がある。
たとえ血塗られる定めであっても、ひとつの傘のもと、みんなで歩いていける。