オリジナルブログの奈良だより第一報にふさわしく、大和一之宮の大神神社詣でを三日ほど掲げます。
先ずは2023年11月3日。たいへんな秋晴れで、暑いくらいの日でした。
参道整備もそろそろ終盤でしょうか。
奈良県と桜井市による「大神神社参道周辺地区まちづくり基本計画」は、伊勢神宮のおかげ横丁をこの地に目指すそうです。
拝殿に到るまでの参道がとても好き。
清澄な空気が心身ともに壮健にしてくれます。
双の柱に注連縄。これがそもそもの鳥居の様式だそう。
拝殿が見えてきました。撮影は控えましょうか。
お参りを済ませたけれどもう少し歩きたい。
二の鳥居を北へ進みます。
若宮の大直禰子神社(おおたたねこじんじゃ)まで逍遥。
午後3時過ぎと遅めのお参りなので、人足もまばら。
この辺りの風景、誰でも懐かしさを覚えるのでは。
おだまき杉。オオタタネコの父と母のエピソード。
夜だけ訪れるオオモノヌシノカミの着物の裾にイクタマヨリヒメが苧環の糸を針で通して、糸を辿って辿り着いた場所が、ここ。
若宮は、子授けの神様でもあります。
真剣にお祈りされている方がいらっしゃったので、そっと立ち去ることにしました。
大鳥居まで戻ってきました。駐車場はいつもここを利用します。お宮に近い駐車場はお金を取られますし、大鳥居からお宮まで歩いたって距離は高が知れているからです。
歩きます、お山が待っているのだから。
三輪の銘菓「みむろ」の白玉屋榮壽本店から、夕陽を臨む。
赫赫とはこれいかに。足が止まりました。
雲ひとつない素晴らしい日和でした。
三輪さん、いつもお守りくださり、感謝です。
帰りの車中、家まで待てない、出来立て最中をぱくぱく。
いつ食べてもおいしいなあ、餡が甘ったるくなくて食べ飽きない。
桜井市から天理市へ道を北へ、すると、この静かに燃えるような落陽。
三輪から望む、二上山、葛城山、金剛山。
あの山並みは、私の産土。
こんな命そのもののような夕陽に照らされる大和平野、見たことない。
おそらく、再び見ることもない。
一生に一度、神々からの賜物。
11月20日、少し体調を崩した私は主人と三輪さんへふらり、お参りへ。
三輪さんのお参りの帰り、参道の小脇にふと、三輪恵比寿神社まで50m、という看板を見つけ、なんとなく小道に入って歩くこと実際200m、三輪恵比寿神社に到着。
小ぢんまりとしたお宮さんですが、とても清潔清掃されていまして、商売繫盛の恵比寿様にはご縁のなかった私ですが「呼ばれた」という心地を初めて懐きました。
三輪恵比寿神社はJR三輪駅の最寄り、三輪駅前商店街にあります。
懐かしい、私の母方の祖母は三輪出身なので、この商店街には小さいころに連れてきてもらったことを思い出しました。
で、三輪恵比寿神社に向かうときから気になっていた食堂『お食事処万直し』のお店の前で「いちげんさんには、厳しいかな」と迷っていると、中から大将が「入ってください、どうぞ」と笑って引き戸を開けてくださったので、私も主人も安心して中へ入ることができました。
映画の寅さんが立ち寄るような、昭和レトロなお店で、私も主人も大満足。品揃えは豊富で、とにかく三輪なので三輪素麺とお寿司のセットを頼みました。
で、先ず、三輪素麺、これがいわゆる「古物(ひねもの)」で、うなるほど美味! こんなん、大向こうを張った大通りのお店でも出てこない!
「100点」と、けっこう点が辛い主人が最初の一口で、こちらのお店に最高点を付けました。
で、お寿司。こんな分厚い寒鰤。濃厚なのに後味はあっさり、めっちゃくちゃ、おいしい! 主人が「200点」と言い切りました。素麺とセットで、これで1000円とは!
魚はすべて大将が「ほんの一山越えて」釣ってくるのです。奈良の桜井から、伊勢の海まで。
「次は是非、鰤しゃぶ食べてみてください。寒い時期は、鰤が一番やから」と大将。
「絶対また来ます」と告げて、お店を後にしました。店名の万直しは、不漁のとき、豊漁を願う酒宴などの行事の間直しから由来されたものだそうで、この日の私にぴったりだと思いました。
で、12月10日、息子を連れて万直しさんへ。この日は当然、鰤しゃぶ鍋。あまりのおいしさに、これ以降の写真撮るのも忘れました。私たちの子なので息子も実直な店を好みます。息子、すぐさまお店のあたたかさを気に入り、喜んで食べていました。
大将、「前のお客さんに出したぶん、余ったから」と、素麺をサービスしてくださいました。鰤しゃぶ鍋は、鰤のお寿司がセットで、1500円、安い!
ここはほんとうにいいお店。三輪さんにお参りする楽しみがまた一つ増えました。
三輪さんもようやく紅葉。
お正月に向けて、境内のほうぼうで注連縄が締めなおされていました。
弱気になるんやない。
三輪さんには、いつも発破をかけられます。
三輪さんはとても強い神様です。
強くあれと、私自身に誓わせてくれる神様なのです。
味酒三輪乃山青丹吉奈良能山乃山際伊隠萬代道隈伊積流萬代尓委曲毛見管行武雄數々毛見放武八萬雄情無雲乃隠障倍之也
味酒三輪の山あをによし奈良の山の山の際にい隠るまで道の隈い積もるまでにつばらにも見つつ行かむをしばしばも見放けむ山を心なく雲の隠さふべしや
味酒の三輪の山が、青土も美しい奈良の山の山の際に隠れるまで、道の曲がり角が幾重にも折り重なるまで、しみじみと見つづけて行きたいと思うのに、幾度も望みつつ行きたい山なのに、無情にも雲が隠すべきだろうか。
額田王『万葉集』(1-17)
三輪山乎然毛隠賀雲谷裳情有南畝可苦佐布倍思哉
三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや
三輪山をこのように隠すのか。せめて雲だけでも情があってほしいものを。隠すべきだろうか。
額田王『万葉集』(1-18)