書架 もう、あんなふうに、心から話せない。 ―『愛人 ラマン L’ Amant』― 私にとって『ラマン』は特別な本だ。いや、多分私にとってだけでなく、思春期にこの本を読んだ文学を愛する全ての女性たちにとって、きっと特別な本だ。皆自分と仏領インドシナの少女を重ねながら成長したのではないかと思う。最初の恋や、その次のいくつかや... 2025.03.24 書架
書架 いやなんです あなたのいつてしまふのが ―『逃げ上手の若君』北畠顕家― Ⓒ松井優征『逃げ上手の若君』19巻いやなんですあなたのいつてしまふのが――花よりさきに実のなるやうな種子たねよりさきに芽の出るやうな夏から春のすぐ来るやうなそんな理窟に合はない不自然をどうかしないでゐて下さい型のやうな旦那さまとまるい字をか... 2025.03.22 書架飛鳥へ
書架 Merry Christmas! My Dear Master! ―お聖さんの箴言集― ⒸAmazonクリスマスになると思いだすのは、お聖さんこと、作家の田辺聖子さん。カモカのおっちゃんのモデル、ご主人のドクター川野が「あんたは要するに年がら年中クリスマス気分がええんやな」と、お聖さんを象られました。この聖夜、みんながみんな上... 2024.12.25 書架
書架 心の底から人を愛し、花を愛し、人生を愛して。あなたはそれができる人だ。 ―長岡良子 古代幻想ロマンシリーズ― 長岡良子 古代幻想ロマンシリーズⒸ秋田文庫長岡良子さんの古代幻想ロマンシリーズ、10代のころ、愛読していました。主人公は、藤原不比等。彼を中心に飛鳥時代の歴史絵巻が蜘蛛の巣のように広がっていくのです。それも、当時の一次資料を蔑ろにせず、時代... 2024.11.12 書架飛鳥へ
書架 すべては交換である。それも「女」の交換である。 ⒸFreepik社会人類学の大家レヴィ=ストロースの、弁当箱くらいブ厚い著作を繙く。しかし、翻訳の先生に恵まれているとしても、レヴィ=ストロースの語り口は、とても優しく、あたたかい。たとえその言っている内容がぶっ飛ぶほどの「野生の極み」であ... 2024.10.25 書架
書架 すべての、白いものたちの ハン・ガン Han Kang : The white Book 한강 : 흰 Ⓒ河出書房新社大和郡山市の特別な本屋さん「とほん」さんのホームページで知ったこの本。そして、この作家さん。人生には、めぐりあったとしか言いようのない出逢いがある。完膚なきまで破壊された街だったワルシャワで、自分が生まれる前に亡くなった姉と弟... 2024.10.14 書架
書架 古代の絶対王者の真の姿 ―倉本一宏 里中満智子『古代史から読み解く「日本」のかたち』― ⒸAmazonこの小体な書物は、私にとって日本古代史上において最も腑に落ちない謎をすうっと消化させるものでした。白村江(はくすきのえ・はくそんこう)の戦い。なぜこんな当時ですら先の読めた負け戦に加担したのか日本は、と、私は子どものころから不... 2024.08.02 書架
書架 地産地消の良書の狩猟 ⒸAmazon明日香村の小学校と中学校で理科を教えておられる先生が、飛鳥に生息する植物を写真に納め、誠実な文章で解説を施された良書。これ、たまたま生駒近鉄の書店の、奈良関連図書の棚で見つけたのです。ちょっとレトロな装丁、それもいい!この本、... 2024.07.11 書架
書架 私は夢から覚めたくない ―能楽『井筒』― 世阿弥が歴史や古典をもとに、どう自作を練り上げていったのか。申楽一座の野臥せりに近しい少年「鬼夜叉」が歯を食いしばって、当時最高の教養という名の苦汁を、我が骨肉と化すまで細胞レベルで吸い尽くしたのです。当時最高のintelligentsia... 2024.07.06 書架
書架 母を訪ねて鬼退治 ―『源氏物語』と『鬼滅の刃』のAnalogy― 平安文学といえば、それはまあ、『源氏物語』が最高峰なのでしょうか。私はこましゃくれた子どもだったので、小学生で『源氏物語』の原文を読み散らしていました。意味や解釈なんて後付けです。とにかく古典の響きに触れていたのです。それは正しかった、と断... 2024.07.05 書架