2024年6月30日、宇陀市の大願寺へ薬草料理をいただきに参りました。
それはもう10年以上前から希望していたことなのです。
最近、私は「人生やり残したことリスト」なるものを手すさび、そのうちの一つの遊廓跡の訪問は6月29日に叶え、翌30日に薬草料理で舌鼓、を叶えることとしたのです。
時間は有限。動けるうちに動こうと。
で、11時30分開始のお食事までに、大宇陀温泉あきのの湯でひとっぷろ。
10時開店、空いているうちに温泉へ飛び込み、満を持して大願寺へ向かいました。
やっぱり温泉は開店と同時に入店がベストです。
道の駅宇陀路大宇陀の裏の山、薩埵山(さったさん)大願寺。初めての訪問です。
大宇陀は数え切れないほど訪れているのですが、こんな緑の美しい清雅なお寺、なんで見落としていたのか、です。
この苔生した石段、鎌倉の古刹のよう。すーばらしー。
まあ、山門が額縁のよう。私は美しい緑の風景が大好きなので、うっとり。
いやー、綺麗やー! 道の駅のすぐ横に、こんな風雅なお寺がおわすとは!
ふむふむ、やっぱり織田家に縁(ゆかり)あるんやな。
庫裡(寺務所)と連なった薬草料理の食堂。
真言宗のお寺ですが、どこか禅寺のようです。すっきりと爽やかで。
ご住職にご案内され、渡り廊下を渡った部屋へ。わあ、宝石みたい、テーブルには前菜と一連の料理が並べられていました。
12時から時計回りに、南京とトマトの市松羹、酵素玄米、豆腐田楽、当帰と黒豆の翡翠寄せ、真ん中、海苔を巻いた牛蒡の酢漬け。
いや、もう、どれも、絶品!
主人と息子も、「うまいなあ!」と唸る唸る。
吉野本葛の胡麻豆腐。うーわー、おいしいいい!
菊芋と虎杖(いたどり)の炒め煮。まろやか!
シメジと蒟蒻とほうれん草の白和え。主人が「めっちゃうまい!」と大感激。
三種盛り。左から、菊花と紅花と薮萱草の花の酢の物、大豆肉と蒟蒻と山芋と枝豆と蓮根の吹き寄せ、金針菜の胡麻和え枸杞の実を添えて。
どれも滋味深く、素材の良さに溢れ、薬草なのに食べやすく、目にも美しく、感動。
薬草料理と高を括っていたら、この段階で私はけっこうお腹が膨れてきました。
吉野本葛の刺身。硬くなるので、すぐ食べてくださいとのこと。これ、めっちゃくちゃおいしい!!
「初めての食感! でも激ウマ!」と息子も叫ぶ。主人も頷く頷く。
飛龍頭(ひりょうず)の餡かけ。飾りの人参は桜の花びら形で、大根は瓢箪形で貝割れ大根で紐結びされている凝りよう。豆腐に大和芋に枝豆に人参でつくられた飛龍頭はもちろんおいしく、何よりボリューム満点で、主人と息子も「意外と満腹になってきた」と。私はとっくに満腹です。
ヨモギとドクダミとユキノシタとミントとヒメウツギと棗の天婦羅。とくに、デイツ、棗の天婦羅が甘さも食感も薩摩芋のようで、おいしかった!
黒米のごはん、ほんとうに真っ黒! 黒米、糯米のようで腹持ち抜群。歯は黒くなりませんでした。お吸い物は舞茸とヨモギ麺と三つ葉、上品な味。香の物の沢庵も糠漬け胡瓜も醪(もろみ)味噌も自家製で、神経が行き届いていました。
残すはデザートのみ。少し箸休めの時間をいただいたこともあり、「まさかのおなかいっぱい」と、息子は座敷の畳にコロン。
デザート、左から、ドクダミのシャーベット、自家製羊羹と林檎のワイン煮とキウイ、そして自家製甘酒。どれもこれもすんばらしいデザートで、シャーベットは抹茶っぽくさっぱり、羊羹は上品、ワイン煮の林檎はお菓子のように深い味、キウイもちょうど食べごろ、甘酒は主人と息子が一息で飲み干すほど美味!
アマチャヅル・ドクダミ・アロエ・ハトムギ・枸杞の実など10種の薬草茶を何杯もお代わりして、体中をすっきり美しくさせ、お食事をお開きにしました。
ご住職に10年来の願いが叶いましたと告げますと、「高校生のときから願っていたんですね!」と。大笑いして、お食事処を後にしました。
箸袋に記された献立。季節によって薬草の種類が変わります。私は、一生に一度の想い出くらいの気合いで、この日に挑みました。大満足です。
毘沙門堂、狛犬ならぬ狛寅! 境内は掃き清められ、植栽も手入れが行き届いています。
毘沙門堂の脇、お稲荷様。わあ、緑生した綺麗な綺麗なお稲荷様です。
大願寺さんには宇宙人にしか見えない「おちゃめ庚申様」なる石仏様がおわすそう。見逃しました、秋の紅葉の時期に再訪します!
帰り道、夏越の大祓に三輪恵比須神社へ。
かっちりと編んだ茅の輪が新鮮で素敵!
みわさん、大神神社はきっと混みあっているはず。夏越に限らず御祈祷は、宮司様手ずからのお宮さんでこそ。
大勢でなくとも、参拝客は途切れることはなかったです。この三輪のえべっさん、静かなる人気のお宮さんなので。
今年の上半期、それなりに慌ただしかったので、正直ゲンナリでした。この日、夏越の大祓で心身ともに垢を拭い落したようで、すっきりしました。さあ、残り下半期へ、漕ぎ出だしますか。