2024年11月11日、第76回正倉院展へ行きました。なんと最終日!
正倉院展は、毎年何かテーマが設けられている気がします。表明をされてはいなくても、キーワードがちりばめられていると。
最終日の開始時刻、午前8時のチケットを購入。今年は一人で観覧することに。私が奈良国立博物館に到着したのは8時を5分ほど過ぎていたので、むしろ列に並ぶことなく、皆が入館した後の、人もまばらな館内へスムーズに入館できました。
おお、ロビーなんか貸し切り! やっぱり早朝8時の入館、観光客にはキツイのでしょうか。ここらへんを歩いていた先週末の夕方には、正倉院展、観覧客が数百人はひしめいていたというのに。
出品宝物、どれもひとつずつ独占して観覧できたので、大満足。今年のテーマ、「七宝とガラスの色彩の花園」、かと。世界唯一のエナメル細工の古代鏡、赤く塗った象牙の物差し、中央アジアの花文様の絨毯、翡翠や瑪瑙や碧玉の勾玉だらけの垂れ飾り、緑と黄緑と青と黄色のガラスの魚形飾り、などなど、カラフルで可愛らしい陳列品が多かったので。
空いた館内を浮かれながら眺め、例年通り、正倉院文書、特に経典の手蹟の端正で読みやすいその真面目なフォルムにため息をつき、光明皇后発願の悲華経に目を留め、聖武天皇の書見台に「これで巻物、特に経典をセッティングして詠まれたんだな」と天平時代の勉強方法に感心し、スーベニールショップで買い物を済ませ、9時30分、出口へ進むと、びっくり仰天、外には数百人の観覧予約客がひしめいていました。
早朝8時、みんな少しばかり早起きすればこんな快適に観覧できるのに、と思いました。私にしても、今年がもっともゆったりと観覧できたので。しかし、この8時入館は昨年から始まったそう。私は朝は早ければ早いほど良いので、いっそ7時入館開始でも構わないな、と。
きらきら煌めく、金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲・珊瑚・瑪瑙、七宝そしてガラス。
ヘルマン・ヘッセの最高傑作『ガラス玉遊戯』のフレーズが音楽のように舞い踊りながら駆け抜けていくような、彩り鮮やかに透きとおった印象を恵んでくれる出展内容でした。
なぜならどの始まりにも魔力がついていて…
そしてどの始まりにも魔力が宿っていて、それが私たちを守り、生きることを助けてくれる。それならよし、心よ、別れを告げよ、そしてすこやかなれ!
ヘルマン・ヘッセ『ガラス玉遊戯』渡辺勝訳
昼食は、九一の江戸蕎麦と二八の田舎蕎麦の天ざる。私は天ざるが大好物。11月なのに暑いのなんの、もちろん、蕎麦はざる、です。
富雄駅の近く、手打ち蕎麦「鴟尾」。奈良らしい屋号。個人宅をそのままお店にされています。
蕎麦好きには人気の隠れ家蕎麦屋さんなのです。
鴟尾、か。寧楽の都が鳳凰なら、富雄はその尾羽、鴟尾かもしれません。
今年の戦利品、11年ぶりに出陳された鹿草木夾纈屛風(しかくさききょうけちのびょうぶ)のシリーズ。今年から、マグネットを買うのをやめました。実用品の域を超えるほどの数になってしまったので。
これはクリアファイルのミニサイズ。線対称の文様は、西アジア、ペルシアの文化を伝えています。
正倉院展の隠れたお土産の名作が、一筆箋。すごく種類が多いのです。それだけ需要があるのでしょうね。
毎年恒例のハンカチ。でも、この銀鼠色の絶妙な色合い、弁当箱を包むにはもったいない、このまましばし眺めることに。
ポンパドールピンクさんみたいに、カルトナージュボックスにしようかな。