かたたがえ

2022.11.27 中央アジア 文明をつなぐもの

2022年11月27日、滋賀県甲賀市信楽の美術館MIHO MUSEUMの秋季特別展「文明をつなぐもの 中央アジア」へ。

実に5年ぶりの訪れです。それ以前はほぼ毎年訪れていました。
ご無沙汰の理由、コロナ禍は関係なく、観たい企画がここ数年なかったので。

私はこの美術館の中央アジアから西アジアにおよぶ収蔵品に興味があり、今回の特別展は待ちに待った企画でした。

我が家からMIHO MUSEUMまで車で約1時間半。
京都府木津川市の恭仁宮跡、和束町の安積親王のお墓、紫香楽宮跡は言うまでもなく、聖武天皇の魂の彷徨を辿る道です。

レセプション棟から美術館棟まで桃の並木道のアプローチ。
桃の枝木が秋で白く色が抜けて、それも特別な感じがします。
美しく老いるような。

植栽の手入れが行き届いていて、こんな近江の鄙びた郷に在るとはいえ、やはりここは世界的な美術館だと思い知らされます。

500mのアプローチ、徒歩で8分ほど。
私たちは行きは必ず歩きます。
電気自動車が何回も往復するので、それを利用するのも有り、です。

トンネルは、桃並木の色を反映し、季節によって移り替わります。
春は桃の花の色のピンク、夏は桃の葉の色のエメラルド、秋はこの通り、桃の樹の色の白。

この辺りの地名は桃谷。
桃源郷へいざなう道なのです。

トンネルを抜けて吊り橋を渡ると、ほら、見えてきた、入母屋造のガラスのエントランス。

「うわー、なつかしい! おら、ここで小1のとき、アッシリアのレリーフ、作った」

エントランスから見える、撥と琴を象った建造物、あれは宗教施設だそう。
MIHO MUSEUMの母胎は宗教団体です。
箱根のMOA美術館も、宗教団体が母胎。
でも、どちらの美術館も、その趣味の良さと収蔵品の素晴らしさは、空前絶後。

イデアをここで論じるつもりはない。
楽しみてあれ。

まさに胡旋舞。
踊るソグド人の女にいざなわれ、さあ、中央アジアへ。

第1章 翼 角 聖樹 ―青銅器時代西アジア・西中央アジアの聖なるかたち―
第2章 自然の循環をこえるもの ―イランの台頭と精神世界の転換―
第3章 名馬のひらいた道 ―シルクロードの曙―
第4章 激動の時代とソグド人の東漸 ―石床屏風に残されたパラダイス―
第5章 ソグド人の宴 ―きらびやかな器と装い―
第6章 唐代金属器の隆盛 ―それはペルシアからはじまった―
第7章 シルクロードのトレンド ―ユーラシアを駆け抜けた瑞獣たち―

展覧会の内容は上記となり、綺羅星のごときイラン・ペルシア世界が私のまなかいを駆け巡り、綺羅星すべてが私の心に横たわりました。
ああ、私はこの世界で一生遊び続けられる、そう確信しました。

私は以前、この自前のブログ内で聖人の定義を「自分で自分の魂の源を掴み取れた者」としました。
私は聖人ではないけれど、イラン・ペルシア世界こそ私の魂の源なのかもしれません。

罪のない自惚れ、どうかお目こぼしのほどを。

美術館棟にはカフェがあります。
松林が目の前に展開されているので、カフェの屋号は「Pine View」です。
レセプション棟にはレストラン「Peach Valley」が在り。
カフェでもレストランでも無農薬無肥料の食材すべて自家製の、信じられないほどおいしい料理が出されるのです。

うちの主人は美術品よりも、料理と建物と景観目当てにMIHO MUSEUMへ足を運びます。

季節のメニュー、ムース・オ・ショコラ。
珈琲ももちろん自家製。
主人、大満足。

息子と私は和菓子セットを注文。
和菓子を注文すると、ほうじ茶がセットされるのです。
和菓子好きの息子、上機嫌。

右から息子の注文、芋金団。銘は「豊穣」。
左は私の注文、栗巾着。銘も「栗巾着」でした。

ほんとうに、ひっかかるものが何もない。
おいしいって、味覚が何にも邪魔されないということでしょうか。

なんて上品なんだろう。
ここは、すべてが。

アレクサンドロス大王はほぼペルシアに魅せられた男。
世界より先ずペルシアが、彼の心には在った。

奈良大学で学んで良かったのは、歴史は文化は繋がっていることが手に取るように理解が叶うところ。

それはペルシアからはじまった。

私は年明け1月からイラン・イスラム共和国大使館主催のペルシア語オンライン講座で学びます。

いつか魂の源へ還るために。

MIHO MUSEUMの自家製豆腐。
私、これでも奈良や京都や大阪で、名店の豆腐を食べ歩いてきました。
ですが、ここの豆腐が一番です!
主人も息子もここの豆腐が一番のお目当てなのです。
お持ち帰りできます。おすすめ。