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2021.2.21 古代ガラス製作体験記

2021年2月21日、国営飛鳥歴史公園へ古代ガラス製作体験に行きました。
キトラ古墳周辺地区の、檜前寺跡近くの体験工房が、古代ガラス工房です。

① 炉と坩堝(るつぼ)で管ガラス棒を作る。
② ①を細分化して管玉を作る。
③ ②を鋳型に嵌めて丸く形を整える。
④ ③を紐でアクセサリーに仕立てる。

炎から形成されたばかりのガラスを冷やすのに時間がかかるので、残念ながら体験は③から始まります。
用意された管玉に刈萱(かるかや)を差し、砥の粉(とのこ)を塗った鋳型に並べ、加熱。

息子よ、若さを燃やして煽げや煽げ。

均等の形に作るのは職人技。火が相手なので。

①の制作開始。手前は炉、背後に鞴(ふいご)。

炉を開けると、炭が火を噴いています。

炉の中には坩堝。ガラスの原料が煮立っています。

金属棒でガラスを巻き取るのですが、管に中空を作るため、二手で行います。

巻き取ったガラスの底を平らにします。二手同時に行います。

二手の底を合わせます。棒を並行に合わせるのがキモ。

炉でよく炎にかざします。熱い熱い! 真剣勝負!

火を熾すのに、空気は不可欠です。鞴はまさにモーターです。
『もののけ姫』のタタラ場を彷彿。
余談ですが、私におけるアニメで一番の男前は、アシタカ一択です。
アシタカは、心が抜群に綺麗ですので。

炎が爆ぜるまで風を送り込まないと。
私も一連の作業を体験しましたが、古代ガラス職人は複数の息が合わないと立派な仕事はできない、そう思い到りました。

息子「ものすごく面白い」と。
ほんと、百聞は一見に如かず、モノ作りは今生きている証。
私、やっぱり考古学が好きやわ。

炉や竃が万物を生み出す大地母神に称されるのも納得です。
生まれ落ちたガラスは火と風の子、それはそれは美しい童神(わらべがみ)たちです。

勢いある炎に精錬されたガラス。よく伸ばして、まっすぐに。

両端を落として、できあがり。練られたばかりのガラスは茶色。
講師陣の見本のあと、参加者によるガラス製作が開始。

左の短い管ガラスは、私と息子作。
右の長い管ガラスは、上述のもの。
ガラスは冷めると緑に変色します。つまりこのガラスは銅、酸化銅なのです。十円玉の緑青です。

だんだん虫の卵のような薄緑に。
生まれたての蝉の翅の色、私の一番好きな色です。

④のアクセサリー制作。
鋳型から外して、刈萱も取って、砥の粉を洗い流します。

組紐で編みます。ねじり編みです。
緑のガラスを引き立てるように黄色ベースの紐を私はチョイス。

息子は大好きなオレンジ色の紐。
捩花みたいなねじり編み、息子にはちょっと難しいかな。

機織りの菊止めがセロテープ、杼(ひ)が竹櫛。
私はこういう手作業、けっこう得意。

手前のストラップが見本。息子には講師の先生が付きっきり。
「お母さん、上手ね」と先生。
「ママ、なんでも夢中なんで」と息子。

なんでも夢中で悪かったね。見よ、私の意匠、三重塔ぞ。

キトラ古墳から向こう、南の風景は吉野山の連峰。

最古の仏塔は、斑鳩は法隆寺の五重塔。飛鳥の三重塔は、岡寺のものかな。

体験工房では土器の野焼きなども体験できます。
是非おいでとお誘いを受けました。
もちろん、伺うつもりです。

陽光は4月下旬並み。春霞で空が白んで見えます。

明日香村は、美観地区の電柱をなるべく地中に埋め込む景観政策を取られています。
日本の故郷の矜持、ですね。

古代ガラス製作、ほんと楽しかった。
仏像などに荘厳としてあしらわれているガラス玉を見る目が、今後は俄然違ったものになるでしょう。

キトラ古墳に来たら、高取町の「すこ。」さんへ。
今回は15時から遅めのランチ、お店でお食事にしました。

定番のスコーンランチ。
具だくさん野菜のスープ、春野菜のサラダ、菜の花のおひたし、キッシュ風オムレツ、プレーンと紅茶のスコーン、ブルーベリージャム、苺とキウイのグラノーラ。
セットドリンク併せて1,000円!
こんな手が込んでて1,000円!

きちんとしたコロナ対策で、4人しかお店でお食事できません。
すこ。さんはカウンターだけのこぢんまりした、なおかつ大人気のお店なので、必ず必ず予約を入れないとダメです。
そのかわり、ゆったりと安心して、安全にお食事できます。

お目当ての苺パフェ。ランチ後ミニデザートのパフェ。
丸ごと蜜柑のコンポート、プリンとオレンジゼリー、苺を添えたバニラアイス、猫ちゃんのクッキー。
これで500円! 申し訳ない!

贅沢苺のプレートパフェ。主人と息子の二人がかりで食す。
ココアシフォンの苺デコレーション、オレオマフィンが加わります。
このパフェだけでおなかいっぱい! 味はもちろん最高においしいです。
すこ。さん、もはや飛鳥地方で一番かもしれない、創意工夫に満ち溢れたお店です。

高取町、今年の3月は町屋の雛巡り花巡りが開催されます。昨年はコロナ禍で中止。
すこ。さんも3月は雛祭りメニュを出されるそうです。
感染対策万全に、再来の予定です。

三輪山です。車中撮影。
24号線はアホみたいに渋滞するので、169号線で帰路に着きました。

箸墓。
私には風景の一部ですが、これは贅沢な価値観でしょうね。

景行天皇陵。倭建命のお父さんのお墓。
天理市の古墳群、一基一基の規模が大きい。

古墳の数そのものでは、奈良県は全国8位です。
意外でもなんでもなく、古墳が作られる時期が早かった大和は、古墳が作られなくなった時期も同じく早かっただけです。

景行天皇陵の陪塚、上の山古墳。その麓の水口神社。
崇神天皇陵を撮ろうとしましたが、国道からは近すぎて全貌は納まりませんでした。
黒塚古墳は国道から奥まっているのでこれも車中撮影は無理でした。

そろそろ山の辺の道を散策しても良い頃でしょう。
大和古墳群は、やっぱり歩いて眺めないと。

古代ガラス職人の技術、奈良の飛鳥にふさわしいワークショップでした。