2020年9月20日、天理市の石上神宮へ。
君、ここは赤ちゃんの頃からお参りしているね。
うーん、たしかにひょろひょろと背が伸びて、君、大きくなったよ。
参進の儀。小ぢんまりとした、見ていて心が洗われるような、これこそ満ち足りた花嫁行列。
なんて美しい。神域へ向かう、その背中。
おめでとう。おしあわせに。
石上神宮の近く、農家カフェ「けやき」さん。息子の誕生日の本会は、毎年こちらでのランチ。
私は基本的に、自分が作れるような料理を提供する店には行きません。
見てくれだけの店なんて、願い下げです。
ここ、けやきさんは、もともとランチの数量も限定の予約優先のお店です。
客も、食材も、きちんと扱われている証拠です。
コロナ禍に応じ、献立は2種類。野菜カレーランチもしくは季節のスペシャルランチ。後者をチョイスしました。
・大和茄子のチーズ焼き
・夏野菜の揚げびたし
・茄子のカポナータ風
・素麺南瓜の酢の物
・金時草のおひたし
・豚肉と空心菜の香り炒め
・万願寺唐辛子の当座煮
・モロヘイヤの冷やし味噌汁
・黒米ごはん
どれも火が通った献立、衛生面を考慮されてのこと。
例年提供されている生野菜がたっぷり乗ったピザが大好物なのですが、しばらくはお預けです。
秋生まれの息子、10歳のお誕生日のお祝いに、特別のデザートプレートを振舞っていただけました。
あー、蠟燭の火が消えてしまう! 早く吹き消して!
野菜と同じく自家製のデザート。無花果のタルト、栗の包み焼き、アイスクリーム、盛りだくさん。
私のデザートは、ランチに付加される通常版、無花果のタルトのハーフカット。
けやきさん、コロナ禍は関係なく予約なしでは難しいお店になりました。心地良いお店なので、大人気なのです。
特別なときに、特別な方と、是非。
石上の布留の神寂びた風景と野菜と果物の滋味を愛する方なら、きっと何度も足を運びたくなる、そんなお店です。
午後、布留の郷から磯城の郷へ。ここは、唐古・鍵遺跡史跡公園。
2年前にオープンしていたのですが、きちんと訪っていませんでした。
すーごーい、きれいに整備されて。
左手、復元楼閣。右手、三輪山。
遊具はないのですが、こどもはそんなの関係なく、草原を走りまわして飽くことなく。
本能が疾走させるのか。
この10年、君は「長かった!」と叫ぶ。
私は、君が加わった記憶が雪のように降りしきるため、時間は重力を伴うとしか思えない。
君はいつか、君自身を掘り当てる。
私が私自身を埋葬するように。
君はいつか、君自身を打ち砕く。
私が私自身を鎮魂するように。
世にも名高い遺跡で思うがまま遊べる者として、君はいずれ私を乗り超えていく。
――上等だよ。