ならだより

2018.8.19 少年の夏の日 奈良県立万葉文化館

2018年8月19日、飛鳥に行きました。
奈良県立万葉文化館の玄関、旧暦の七夕の笹飾りが供えられていました。にぎわい万葉フェスタ夏、こどもイベントが目白押し。息子も手作り缶バッジを製作したり、塗り絵をしたり、クイズに答えたり。

展覧会は特別展「マンガで語る古代大和―学術と創造の融合―『天上の虹』にみる創造の世界」でした。
里中満智子先生の原画で、飛鳥を舞台とした大化の改新から壬申の乱まで、巡ることができました。

少女漫画ですからどうしても恋愛ベースにしないといけない、そうした色眼鏡をとっぱらい、小学生の私は歴史物として『天上の虹』を楽しんでいました。
登場人物で一番好きだったのは、中大兄皇子、天智天皇です。迷う暇(いとま)も惜しむ、その厳しいまでの純粋さが、大好きでした。
娘で未来の持統天皇である鸕野讃良皇女に向かい、その身に我が身を重ね、いずれ統治者として同じ道を辿る者として、その眼は挑むようでも験すようでもあり、また、憐れむようでも労わるようでもあり、父は娘の唯一の理解者となりました。

飛鳥に来て思うこと。この日本という国の礎は、天智と持統の父と娘が築いたのだと。

死ね。おまえを神に進ぜよう。

顔色ひとつ変えずに告げる鸕野讃良皇女。そして西の空、二上山に眠る大津皇子。

私には、大津皇子の死は、処刑というより供儀に思えるのです。いちばん古い記憶が、夕陽の沈む二上山である私には。

昼食は万葉文化館のとなりのASUCOMEへ。主人と息子はCURRYON(カリオン)さんのカレーを注文。目当ての飛鳥野菜カレーは売り切れ、残念! でも、お店の方が恐縮するくらい腰が低く、他のメニューでも充分おいしかったです。

前回訪ねた「すこ。」さんもそうですが、ASUCOMで出店されている方は、皆さんとても気立ての良い方ばかりです。まっすぐな夢をいだくのに、飛鳥は最たる土地なのですね。

3月からチャレンジショップに参加された「しき うらら」さんで、私は飛鳥野菜丼を注文。これが大正解! めちゃくちゃ美味!たっぷりの地場野菜に、たっぷりのあん。これはおいしい! 食後の紫蘇ジュースも絶品でした。
作り手の真摯さとあたたかさが伝わる味。飛鳥に私たちが何を求めて来ているのか、よくわかるお店です。応援します!

万葉文化館は、広大な敷地に、手入れの行き届いた植栽が見事です。腹ごなしに散策。
ひろーい。これは一日ここで遊べますわ~

万葉庭園の復元遺構です。ちょっと、万葉文化館の説明を拝借。

飛鳥池工房は、平成3年(1991)の発掘調査で見つかった7世紀後半から8世紀初めにかけての工房を中心とした遺跡です。工房跡一部について発掘調査時の状態を実物大で復原しています。(建物跡・塀跡・石組方形池跡・石敷井戸跡)

夏草や……夢の跡。少年と遺跡、似合います。
蛙と飛蝗と富本銭と万葉集と。
7歳の少年の夏の日。
まばゆいなあ。