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母を訪ねて鬼退治 ―『源氏物語』と『鬼滅の刃』のAnalogy―

平安文学といえば、それはまあ、『源氏物語』が最高峰なのでしょうか。私はこましゃくれた子どもだったので、小学生で『源氏物語』の原文を読み散らしていました。意味や解釈なんて後付けです。とにかく古典の響きに触れていたのです。それは正しかった、と断...
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誰の影響も受けない者 ―中沢新一『聖霊の王』―

ⒸAmazon中沢新一氏の問題作。めっぽう面白いのですが、これを私の卒業論文の参考文献に載せる勇気はございません。中沢先生は智識の辺境の住人で、そこに煮凝る思想を喰らいつくすおつもりです。私もいずれお相伴に与りたいものの、今はまだまだ役不足...
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流れ星か、見たことないな。 ―沢木耕太郎『流星ひとつ』―

私の涙は1円の価値もない。いや、1銭もないかもしれない。すぐ泣くのです、感動すると。閑話休題、私が初めて知ったアフガニスタンは沢木耕太郎さんの『深夜特急第2便ペルシャの風』と思い出し、沢木さんの著作を再訪してみることに。私は3歳のころから濫...
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2024.6.30 夏越の薬草料理 大宇陀大願寺

2024年6月30日、宇陀市の大願寺へ薬草料理をいただきに参りました。それはもう10年以上前から希望していたことなのです。最近、私は「人生やり残したことリスト」なるものを手すさび、そのうちの一つの遊廓跡の訪問は6月29日に叶え、翌30日に薬...
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2024.6.29 遊女の空の巣 洞泉寺遊廓跡

2024年6月29日、大和郡山市洞泉寺町の町屋物語館へ。大正13年に創建されたこの木造三階建ての数寄屋造りの贅を凝らした町屋、昭和33年に廃業されるまで遊廓「川本楼」として営業されていました。大和郡山市は金魚の名産地、川本氏も金魚の養殖で莫...
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Mon cher Marc 親愛なるわたしのマルク ―マルクス・アウレリウス・アントニヌス『自省録』―

Marcus Aurelius Antoninus ©Wikipediaマルクス・アウレリウスの言葉を必要とする心境になり。私はこの哲人皇帝が古代ローマ史の登場人物の中で、いちばん好きなのです。敬愛する作家マルグリット・ユルスナールの代表作...
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愚痴ばかりの女 冗談ばかりの男 ―『蜻蛉日記』―

前田青邨『春山霞男』 Ⓒ伊豆市古典『蜻蛉日記』を表現するに、「才色兼備だけど人として幅のない女」と「適当に見せて実はバリバリ有能な男」が結婚してしまった悲喜劇、に尽きるかと。これはもう、男の圧勝、です。で、表題にも揚げました、「愚痴」と「冗...
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投函

ⒸFreepik夏季スクーリングの受講申込書、提出。近鉄奈良駅の最寄りでお昼ご飯をお求めなら、きたまちの「ごはんの間(あいだ)」がおすすめ。ランチ営業しかされないので、スクーリングに前乗りで来られた際や、スクーリングの翌日まで奈良に滞在され...
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短いから、幸せ。 ―田辺聖子『古今盛衰抄』―

ⒸAmazon先輩ツツコワケさんとのやりとりで院政期を思い出したときに読んだ、この『古今盛衰抄』、大好きなお聖さん、田辺聖子さんが1975年に出された短編集『小町盛衰抄』を、『小町』から『古今』に改題して2017年に文庫化されたものです。表...
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もう遅い、もう遅いのだと。 ―『王女メディア』―

Medea ⒸPiel Paolo Pasolini対象がなんであれ、私が「嫉妬の念」を抱いたのは今のところ一度だけ。それは、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の映画『王女メディア』を初めて観たとき。マリア・カラス演じるメディアが、自分を裏切っ...