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2024.11.27 飛鳥で古文書を学ぶ

Ⓒ歴史館あすか☆こやま座

2024年11月27日、奈良大学通信教育部の先輩、寺原千佳子さんがオープンされた「歴史館あすか☆こやま座」で、第2回の古文書講座に参加しました。

ほんとうは、第1回目から参加したかったのですが日程が合わなかったので、このたびは満を持しての参加となりました。

Ⓒ歴史館あすか☆こやま座

こやま座は、館長の寺原さんのご実家です。大和三山のど真ん中、最高のロケーションで、奈良大学通信教育部でも古文書学をご担当してくださっている安田真紀子先生の講義を受けました。

講義の内容は持ち出せませんが、私のような超の付く初心者でも講義の終盤には課題の古文書が読めるようになっていました。古文書を解読するノウハウを実技として教わることは、たいへん意義がありました。

私はペルシア語を習っているのですが、これもオンラインだからこその臨場感に支えられているのです。

言葉を学ぶに、実技はかなり重きを成します。

安田先生はお教えになられるのがとても巧みで、すごく楽しい講義でした。継続して通おうと決めました。飛鳥で学ぶ古文書、最高です。

©奈良文化財研究所飛鳥資料館
©奈良文化財研究所飛鳥資料館

講義の後は、安田先生も御一緒に参加者全員で、奈良文化財研究所飛鳥資料館へ。ちょうど秋期特別展 「水と暮らしの風景史 古地図と景観がひらく飛鳥 」が開催されていました。

須弥山石が右手に。精巧なレプリカです。

飛鳥の石神遺跡から明治時代に出土したものです。全体の構造が噴水施設になっており、庭園用の石造物であると推定されています。

旅する飛鳥ネット

亀石のレプリカ。向こうに見えているのは畝傍山。

紅葉が見事でした。奈良盆地、寒い寒い。

参加者15名の半数が、2名まで無料になる葉書をお持ちで、全員無料で入館できました。

寺原館長さんのお知り合いの、飛鳥資料館の研究員の竹内さんから、解説を受けながらの観覧となりました。竹内さんの専門は歴史地理学で、とっても興味を惹かれました。

フライヤーのセンスも良くて、個人的に観に行こうと思っていたので、感激。

エントランスからして、歴史地理学!

パネル、明日香村の治水の地図です。

水争いは、大和平野の恒久的な課題だったのです。

入り口のこのパネル一枚にも、竹内さんの取材がちりばめられているのです。研究員、学芸員の実力発揮です。

私、地図は子どものころから好きでした。地図帳を端から端まで見尽くすのが趣味でした。そのせいか、地理の成績も良かったものです。

大官大寺の講堂の跡地の水田! ああ、飛鳥って、すごいな。なんという歴史の地層。

唯一無二の歩みと仕組み、か。歴史の重みを吸い上げた田園なのですね、飛鳥は。

私の興味は、やはり古代の飛鳥。

この地形図、これは使える! 永久保存!

水の神を奉る丹生川上神社三社も、馬を神の使いとしています。水と馬の関わり、ギリシア神話の海神ポセイドンも馬と関わりが深いので、これは汎世界的なものなのかもしれません。

王とは水を司る者。治水こそ王者の為せる業とは、この世の常。

飛鳥寺で実際用いられた土管。

現代とやっていること、ほぼ変わらない。

黒い跡、飛鳥時代の水の流れの跡です。

明日香村の水利権と、水にまつわる史跡の鳥観図、壮観。

これ、まさに奈良大学通信教育部の歴史地理学のスクーリングのデモンストレーション。

向こう正面の壁一面、明日香村の稲田への宗教民俗学的な展示。

明日香村では、田んぼに花や松を挿すのです。それはなぜかといいますと、下記参照。

水口祭。とても風情があります。八百比丘尼が白玉椿を挿して歩いた、そんな挿話も思い出しました。

甘樫坐神社ゆかりの地域、豊浦(とゆら)や雷(いかづち)では、盟神探湯(くがたち)の水口祭。

奥明日香の稲渕で刷られていた、牛玉宝印(ごおうほういん)。牛玉宝印を刷った紙を枝に挟み、田んぼに挿したのです。もちろん、水口祭として。

味のある印です。宝珠紋ですね。巴紋と似ている宝珠紋、水に関わりある紋でもあります。

水争いの古文書などなど、他にも興味津々の展示が満載。けれど、私はやはり、人と自然の営みに直結する水口祭に、心を持っていかれました。

飛鳥資料館は、常設展示も流石のラインナップ。古代資料が当然ですが豊富です。

最寄りの山田寺の展示。これが飛鳥資料館の要なのです。持統天皇が、自死に追いやられた祖父蘇我倉山田石川麻呂が志半ばで建設が頓挫されていた氏寺を、再建したのです。

そもそもは法隆寺より先に建てられた、歴史的意義も壮大な、山田寺。

溌溂と瑞々しい白鳳仏の頭部、持統天皇の不屈にして透徹とした精神性を物語ります。

なぶんけん応援ガチャにチャレンジ。おー! 欲しかった牽牛子塚古墳の出土品!

この七宝製亀甲形飾金具は、斉明天皇と娘の間人皇女の棺の金具とのこと。

古文書の講義も、飛鳥での歴史地理学も、そしてこの美しい七宝ガラスの金具の戦利品も、すべて賜物の一日でした。